〈パコーン…パ、コーン…〉
「なまえ」
「……国光、くん…」
息も絶え絶えで、彼女は振り向く。
散らばったボール。傷だらけの身体。滝のように流れる汗。
沈みかけている夕日が、限界に近づく彼女を照らす。
「何をしている」
自分の詰問口調に手塚は眉をひそめた。…何故自分は、こうも口下手なのだろう。
「練習、だよ。テニスの。テニスコートにいるんだから、ちゃんとやらなくちゃ」
彼女はそんな手塚の思いに気づきはしない。表情を見れば判るものも、既にそれは歪んでいる。
「度が過ぎているだろう」
まさに一刀両断、だ。だが彼女も譲れない。
「っ――でも、ここまでしなきゃ君に追いつけないんだよ!!」
「な…」
手塚は目を見開いた。…いつも彼女は、笑って自分と打ち合ってくれていたから。
彼女までもが、自分が無意識にかけるプレッシャーに押しつぶされそうになっていたなんて。
(……―――……)
「……分かった」
「……………」
「練習には、俺が付き合おう」
「…! それは…っ」
「何だ?」
「駄目だよ! 私のことで君に迷惑かけられない…!」
ラケットを痛い程に握りしめて俯く。…もう嫌だ。
(君の負担にだけは、なりたくなかったのに)
ただ堂々と、隣に並びたかった。それだけ、なのに。
「――気にするな」
突然手塚が言葉を発した。心を見透かされたようで、なまえはどきっとする。
「俺がついていれば、上達も早くなるはずだ。お前の両親だって心配することもなくなる。…それに、」
「…?」
「俺が、頼られたいんだ」
「…!!」
…なんて、狡い。
真剣な顔でそんなこと言って、ストレートに自分の望みを言うなんて。
「…じゃあ、よろしくお願いします」
「ああ」
差し伸べられたこの手を、
本当はずっと待っていた。
〈挨拶〉
突然の手塚さーん。しかもぐだぐだ(苦笑)
私の願望いっぱいですね。手塚に面倒を見てもらいたいという←
ここまで見てくれてありがとうございました!
私の三つ目!
2010.11.03
園より
なななんて素敵手塚部長..!
テニスに対するプレッシャーとか、選手としての感じが書かれていて すごいいいなあ(´`)
というか手塚にこんな風に励まされたいです。沙ちゃんの手塚イケメンすぎるでしょう..!
あとヒロインちゃんの、「君」呼びにきゅんとしました。(^p^)←
私ももっと更新せねば..!!!