いつかの約束
  /観月はじめ



「みょうじさん」



はじめくんは、私の名前を呼んだ。
私は振向かなかった。
いや、振り向けるような顔を私はしていなかった。
みょうじちゃんをぼくのお嫁さんにしてあげましょう、だなんてがきんちょなりに言って見せたのはどこのだれだったろう。
はじめくんだ。目の前の、彼だ。
なのに、なんなの。
どうしてなまえさんとかって呼ぶの。
ぽろぽろと涙が頬を滑り落ちてゆく。



「みょうじさん?」



もうはじめくんなんか知らない。
私は涙をこすった。
そして、走り出す。振向きもしないで。



「みょうじ、さん!」



ばか、ばかばかばか!
はじめくんの、ばか…!
別に敬語を使ってほしいだなんて頼んだ覚えはないし、苗字で呼んでって頼んだ覚えも無い。
なのにはじめくんは私との間に線を引いたよね。
真っ黒でまっすぐな太い線を。
まるで私はもうそこに立ち入っちゃいけないみたいに。
誰のためにマネージャーなんかやってると思ってるの。
はじめくんがいつもみたいに無理しすぎないように、私が見てなくちゃって思ってる、だけなのに。
きみにとってはもうそれは私の勝手なおせっかいでしかないんでしょ?
だったら、もういっそ、きみの前から消えてしまおう。
もう何処を走っているのか自分でもわからなかったけれど、ただ彼が私を追ってきてはいないことだけは分かった。
ほら所詮、はじめくんにとっての私なんてこの程度の存在。
馬鹿馬鹿しくなって、走るのもやめて、私は座り込もうと、した。



「う、わっ」



そしてこのざま。



「い、た…!」



痛みを感じてみてみると、膝をすりむいていた。
どうやら私は河川敷から滑り落ちたようだ。
ああもう、最悪。
コンクリートでできた橋の柱の影にもたれた。
足は痛いし、胸は張り裂けそうなくらい痛いし、もう散々だ。
はじめくんはどうせ覚えてない。知らない。
あの時はじめくんが言った言葉を。
私が今までそれだけに縋って生きてきたことも。
ばか、はじめくんのばか。
私はもうどうしたらいいかわからなくなって、膝に顔をうずめた。
もうやだ。こんなの、もう嫌。
膝からは血のにおいがする。
不意に、ずざざざ、と聞きなれない音がした。



「なまえ…!」



頭におかれた手に、馬鹿みたいに縋ってきたその声に、私は顔を上げる。



「は、じめ……くん」

「どういうつもりですか、貴方は…!」

「どういう、って、」



おかしい、確かに追いかけてきていなかったはずなのに。
どうして、こんなにも早く。



「心配させないで下さい」

「……なっ、なにそれ!」

「何がです」

「はじめくんは自分勝手だよ!突然私との距離置いちゃってさ、どうせ私のこときらいなんでしょ!?だったらもう、」



ぼふ、っと音がした気がする。
突然目の前が真っ暗になっていた。
かすかにわかるのは、
……あ、はじめくんの家の香りがする。



「なまえ、覚えていないんですか」

「……何を」

「ボクはしたでしょう、プロポーズ」



そうか、私ははじめくんに抱きしめられているのか。
そしてまた唐突に離され、そのまま、キス。
えっ、ちょっ、は、はじめくん!



「……っは、な、何いきなり!」

「ボクが信じられませんでしたか?」

「………ず、ずるいよ」






 いつかの約束
 
***
意味不明^p^
いやあ申し訳ありません!
明日からとか言っておきながら勢いで書いてしまいましたすみません!
えっ、誰これ、観月?まじで?





*園より

梛ちゃんより、「いつかの約束」 観月さん夢でした!
観月さんですか!確かにまさかでした笑
けれど、個人的に観月さん大好きなんでとても幸せでした..!店長!
なんてかっこいいんでしょう..!
更新スピードに感無量です。
このスピードでこんな素敵小説を..!
見習わせていただきますorz