「おーい! なまえー!」
自分の名前を呼ぶ声に私は耳を塞ぎたくなった。学校を出ようとしていた足はあいつの姿も見たくなくて、早歩きに変化する。
ああ、しかし流石テニス部のエース。私の競歩も意味なく、あっという間に追いつかれてしまった。腕を掴まれて、力任せに振り向かされる。
「何で無視するんだよ!」
「馴れ馴れしく名前を呼ばれる仲だと誤解されたくないし。しかも腕痛い、離してよ」
「あっ…わ、悪りぃ」
骨がきしむ感覚に顔をしかめて言うと、彼はあっさりと引き下がった。…馬鹿力だ。やはり彼とは関わりたくない。
「……で、何の用?」
「一緒に帰ろうぜ! で、ついでにオレの勇姿を見てけよ!」
「…………」
それは…テニス部を見学して練習が終わるまで待てということ? うわ…
「や…「お! 赤也が彼女と一緒にいるぜぃ」…だ…」
遮られてしまった。
ため息をつくとグイッと身体を引っ張られて、それが何かと理解する時には切原の顔が超至近距離の位置。
「そうっスよ! 言っとくけど、先輩達には指一本触れさせませんからね!」
「……は」
なんだこれは。いつから私は切原の彼女になった? 茫然として動けないのをいいことに、切原の腕の力は更に強まる。う…
「き、切原…っ」
「何だ? あ、言っとくけど放さないからな」
「放さな…、いやっそれはもういい…! とにかく力、力…っ…」
「は? 力? あ、もっと強めてほしいってことか!」
ぎゅうっ。
「ぐっ…!」
「赤也、彼女が死にそうだよ」
「何言ってんスか幸村部長。いくらこいつが可愛いからって…」
「…惚気も大概にしてくれる?」
「すすすすすみませんでした!」
土下座でもしそうな勢いで幸村先輩に謝る切原。その度にきしむ私の体。先輩はそんな私たちを見て綺麗に笑っている。…ああ…絶対この人ワザとだよ…!
「おい、こいつ顔が真っ青だぜ…」
「目が虚ろだな」
「くくく…その内泡でも吹きそうな表情じゃ…」
私を他人事のように観察してバカな会話を交わす他の先輩たちは、どうやら助けてくれる気はないらしい。幸村先輩の勘気を被りたくないってか。…確かに分かる。あの笑顔は怖かった。
「助けた方がよろしいのではないでしょうか?」
「…だよな。おい、しっかりし…」
まともな人がいたー!! とか思った時には視界がぐるっと変わっていた。方向転換の一瞬におとずれた浮遊感で、このまま飛んでってしまいたいとか思った私は重症かもしれない。
「ちょっと、なまえに迫ってんスか!?」
「…うわー…ホントこいつってバカだよな」
「丸井、そんなあからさまに言ってやるな。…元々のことだ」
「参謀もひどい言い草ぜよ」
「…何か問題でもあったか? 仁王」
「…プリッ」
「とにかく彼女を解放してあげなくては…」
「…悪い。もう俺には手の施しようが…」
「諦めないでください、ジャッカル君。まだ道はあります」
「ふふふ…いい眺めだね」
…もう何でもいいから私を助けて。
「…ったく…」
危ないから俺のそば離れんなよ!
(離れてないし…っていうか放してくれなかったんでしょ!?)
(それに今はあんたのそばにいる方が危険だよ!)
〈挨拶〉
君は誰だー!
…いや、赤也のつもりで書いたんですけどね…?
…明らかに失敗しました。思いだけは込めたよ!
ギャグっぽいノリで書いたことを理解してもらえれば、もうそれだけでいいです(苦笑)
そういえば企画で青学以外は初めてだな…
私の五つ目!
2011.1.30
*園より
赤也赤也!
沙ちゃんの赤也が拝めるとは..!
赤也かわいいよう!ううう
愛されてる感がたまりませんでしたへへへ。←