「名前ちゃん名前ちゃん」

「名前名前ー」

「…」


誰かトキヤ連れて来い。




「もー…オフだからって何で二人して家来るの…」

「えーだって最近仕事忙しくて名前ちゃんに会えなかったんだもん!」

「そうだよー休日合わないしさー」



だから構って構ってと左から右から同じようなテンションの声に挟まれる休日朝10時。
正直な話を申し上げると次の日が休日ということで昨日は遅くまでトモちゃんとフィーバーしていたのでもうとんでもなくはんぱなく眠たい。瞼と瞼が合体しそうなくらい。まぁこの二人はそんなことも知らずにきゃっきゃと何がそんなに楽しいのかはしゃいでダンレボしている。何故そのチョイスなのかはもうどうでもいいけどさっきからこの子達容赦なく踊っているので下から苦情こないか不安です。下誰だったっけなぁカミュ先輩だったらネチネチうるさそうで嫌だなぁ。



「見て見てー!高得点だにゃ!」

「すっげーハヤト!よーし俺も!」

「…」


だめだこりゃ。外国人のように両掌を上にあげて肩をすくめてみるが誰もつっこんでくれる人はいない。人はいるけれどダンスに夢中になっている。住人には目もくれず。上げた肩を今度は落として頭を抱えた。


「もうゲーム本体ごと貸してあげるから音也かハヤト君の部屋でやってくれないかな」

「えー」

「名前ちゃんもやろーよ!」

「嫌だ疲れる」

「じゃあ何で買ったの」

「昔のノリだよノリ!昔は楽しかったの!」

「えー」

「えーじゃない!もー!それあげるから私に穏やかな睡眠時間くださいよ!!」

「えっ」

「えっ」


えって何ですかえって私までえっだよ。二人とも大きなおめめをぱちくりとさせて私を見つめてくる何これ。こんな時にいくらなんでも可愛いなどと思うわけはないだろうと思うだろう。甘いわ可愛いなこのぼけども!


「ね、眠いの?」

「この半開きの目を見てよほら」

「寝すぎて腫れてるのかと思ってたにゃ…」

「こ、このやろう」



プツリとリモコンでテレビを切ってやれば大げさなほど動揺した「あっ」が発せられる。ゲーム機の電源も落としてやりたいけど生憎届かない。もう動く気力もない。眠い。寝そう。寝ても良「仕方ない一緒に寝よっか!」くないなこれは。



「っはぁ!?」


ちなみに今の間の抜けた大きな声はバカな事を言ったHAYATO様の隣にいる新人アイドル一十木音也である。普通なら私が叫ぶところであろうが代わりに叫んでくれたとてもかわいい奴である。一方私はといえばもうげんなり顔でこれが答えだと指し示してくれても構わない。


「仕方なくも何もないから遠慮するね」

「ええー」

「ええーじゃないし」

「一緒にはだめだよハヤト!」

「音也もっと言ってやって言ってやって」

「添い寝するだけだよ大丈夫大丈夫」

「大丈夫じゃないんだけど」

「何で!」

「………音也」

「はっ!な、何でってえーと名前女の子だし!」

「そうそう女の子女の子あいあむがーる」

「…一緒に寝たいだけなんだけどにゃぁ…駄目かな…」

「……」


出たハヤトくんのお得意きらきらお目目攻撃。今まで何度この技に打ち砕かれてきたことか。だがしかし今日ばかりは許すわけにはいかない。許してしまったが最後トキヤから熱い平手打ちを往復でお見舞いされること間違いなし。この痴女が!という罵倒付きで。ハヤトくんの目を見るな見てはだめだ見てはいけない負ける!!負ける!!助けて音「うーん、そうだなぁ、隣に転がって寝るだけならいいのかな…」也ああああああ貴様ああああ!!!!


「………おーけー…分かった、分かった分かった」

「「!!」」

「私起きてるから大丈夫」

「えー」

「えーじゃない」

「そっかぁ…」

「しょんぼりしない」


これでいい私が睡魔に打ち勝てばいいだけだ。この子達が帰ってさえしまえば穏やかで幸せな睡眠タイムが待っているのだから。それまでの我慢だ。それくらいできる大丈夫名前ちゃんは我慢の子。どうせ飽きたらすぐ帰るだろう。


「じゃあ、一緒にあーそぼーう!」

「そうだね遊ぼ遊ぼー!」


………長い戦いになりそうだ。








(…いつまでも帰って来ないと思ったら何をしてるんですか貴方達はもう外真っ暗ですよ)
(あ、トキヤだー)
(トキヤも遊ぼー)
(…名前が死んだ目をしているのは一体…)





(2013.12.16)
企画ご参加有難う御座います。
何こいつらすぎてすみません、わんこ達とても楽しく書かせていただきました!
素敵なリクエスト有難う御座いました^^!
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