「ねぇ、空き家他にもあるんだからそっち行かないの」

「俺の勝手だ」

「人を巻き込んで勝手しないでください…」

「このDioと一夜を共にすることに何の不満があるんだ」

「一夜を共にというあたりがとても不満」

「ほぉ…そんなに意識されているとはな」

「してない」

「お前とセックスなんて流れにはならんから、楽にしてろよ」

「せっ…!ばっ…!!当たり前だし意識してないし!!」

「…」

「何その目すごく腹立つから見ないで」

「腹が立っているだけの顔には見えないな…想像でもしたか」

「うるさいしてないし今すごく腹立ってるからこれが私の腹立ってる顔だから放っておいてくださいおいにやついた顔で近づかないでよ近づかないでくださいそれ以上近づいたら本気で殴る」


絶対殴る右手で殴る力いっぱいぶん殴る。拳を握り締めているというのになおも近づくディエゴに迷うことなく宣言通り握り締めた右手を力の限り目の前の綺麗な顔面へと放った。と思った。はずだった。未遂。


「っ、」

「危ないじゃあないか」


放った右手はやすやすとディエゴに掴まれ、その上そのまま肩を勢いよく付き飛ばされて後ろへと倒れこんでしまった。何故。着地先は運が良かったのか悪かったのかはたまたこの男の計算かベッドであり、ぎしりと安っぽいスプリングの軋む音が静かな部屋に響き渡る。痛いと噛みつく間もなく、あっという間に私の視界はディエゴと天井のみとなった。


「…ちょっと意味が分からないです」

「意味だと?分からないのか…本当に?」

「っ…耳舐めないで」

「暴れるなよ、優しくしてやらないぜ」

「は、話が違う」

「…そうだな、じゃあ訂正しよう」


セックスしようぜ。

脳が痺れるような低く甘い声でこいつは何ということを言うのだろう破廉恥極まりない。大音量で叫ぼうとしたお断りの言葉はディエゴの口の中へと消えて言った。







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ただディエゴちゃんにせっくるって言わせたかっただけですすみませんでした
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