「背中あったかい」

「…!!」


明日小テストがあるとかでテキストとにらめっこ中の翔。特に明日何もない私は翔の部屋に遊びに来たのだが暇だったし寒かったのでとりあえず邪魔しない程度に翔の背中にくっついてみたら思いの外温かったので離れるタイミングを逃した。
くっつかれた翔はびくりと肩を揺らしたけどそのままテキストとにらめっこを継続させているようで微動だにしない。いや、微動はしてる。翔も寒いのかな。届け私の体温。文句を言われないあたり邪魔ではないようなのでもうちょっとくっついていよう。そんなことを考えながら翔の持つテキストを肩から覗き込んだのだが難しそうなのでそのまま肩に顔を埋めた。ぎゅうぎゅう。翔いい匂いする。あー温かいしいい匂いするし幸せだー


「…」


しかしさっきから翔が本気で動かないんだけどテキスト進んでないよ。そんなに難しいのかSクラスは。Aクラス底辺の私には分からないです。ペーパーテストでは音也にすら哀れみの目を向けられるレベルです。思い出したら音也なぐりたくなってきた。いけないいけない。今はそれより翔だ。


「少し休憩した方がいいんじゃないの?」

「…」

「翔?」

「…」

「翔くーん!!」

「!!何だ!?」

「うわ!吃驚しすぎだよ!」

「え、あ、悪い…つっつーかお前が…!」

「えっ私?ごめん?」

「お、おお」

「動かないから疲れてるのかと…」

「そっちじゃない…」

「そっちじゃない?」

「さっきからのだろ…!」


さっきからの。はて。首を傾げたら、翔はぐぬっと言葉に詰まりながらいきなりくっついたりすりよったりすんなと顔を真っ赤しながら言ってきた。こっちまで顔が赤くなったらどうしてくれるんだと反論したかったのだが既に私も顔あつい。うつった。確かにすりよってた。超くっついてた。その上匂いかいでたとか変態か。


「…暇だったからつい…」

「何も頭入ってこねぇから…」

「ええごめん!部屋かえる」

「…」

「翔?」


さすがにこれ以上翔の成績が落ちても困るし、リューヤさんにも悪いので引き下がろうと思ったのだが、翔が私の腕をつかんできたのでそれはかなわなかった。そしてそのまま翔の腕の中に引き込まれる。何だ何だと見上げれば若干熱っぽい瞳があって。あれ、何、この展開はもしかして。


「…翔のスイッチを入れてしまったような…」

「分かってんなら責任とっとけよ」

「はい…」



赤点フラグだなぁ


少しひんやりした手で優しく頬をなぞられて、近づく翔の瞳を視界に捉えながらゆっくりと目を閉じた。リューヤさんとりあえずごめんなさい。








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