「はやと君は魔法とか使えないの?」
「ふふふ、秘密〜!」
「空も飛べないのに?」
「うっ!」
心にささった!と胸を押さえて膝をつくはやとくん。どうやらうちの妖精さんは魔法の類は使えないらしい。それって、じゃあ、ただの小人なんじゃないのかなと思ったけどはやと君のフェアリーハートにさらに何かが刺さりそうだから言うのはやめておこう。
「でもね、空は飛べないけどもっと大事な魔法が使えるんだよ?」
「大事な…?」
「うん!すっごく大事」
「どんな魔法なの?」
「知りたい?」
「うん」
「どうしようかにゃ〜」
「…」
「ちゃんと言うからそんな目で見ないで…!」
「うん!」
「…それはね!なんと!…名前ちゃんを笑顔にする魔法!」
「…笑顔?」
「うん。そう。笑顔に!」
にこにこにこ。はやと君は満面の笑みで両手を広げた。
はやと君が笑顔になる魔法の間違いではないだろうか。
「見たいなその魔法」
「えへへ〜今は使うところじゃないんだにゃあ」
「…」
「あ!その目!疑ってる!!」
刺さったー!とまた胸を押さえて今度は前のめりに倒れこんでしまった。やっぱりただの小人である。いつまでたっても起き上がらないはやと君に、つんつんと頭をつついたら慰めてと言わんばかりにつついた指に頭を擦り付けてきたのでとりあえず撫でておいた。にこぉ。笑顔。くそうかわいい。
(君が辛い時はボクが魔法をかけてあげるから)