「名前ちゃん名前ちゃん!おはやっほー!」

「………。」



朝からちっちゃな妖精っぽいもの大アップ。
まだ開ききっていない目でちらりと時計を見るとまだ8時30分。今日は土曜日。



「あと2時間」

「長いよ!起きて起きて!!」

「知らないの?今日はお休みなんだよはやとくん」

「知ってるよ!」

「だったら寝かせてください…」

「構って!」

「ええ無理」

「ひどい!」



何なのこの子は。構ってってどういうことなんです。
お断りして頭までかぶり直した布団を構って構ってとぐいぐい引っ張ってくるはやと君は妖精というよりまるで子犬だ。



「はやと君私眠い!」

「ご飯食べよう!」

「先食べて!」

「何を!」

「パンでもちぎってて!」

「ひどい!」


お互い必死に叫びあって布団の引っ張り合いが開始される。(というより私の圧勝だからはやとくんが頑張ってるだけなんだけど)
はやと君は全く引きそうになくて、声も大きくて、布団を通してもとてもよく聞こえて頭に響く。起きて起きて!本当にこの子は幸せを運びにきたのか疑いたくなる。ぐいぐいぐいねーねー起きてよぐいぐい名前ちゃんぐいぐい構って構って構って構って構って構って構「もぉぉぉ!!わかったおきるよ!おきればいいんでしょ!」「むぐぅ!!」「あ?」


もうこれ以上やっててもはやと君がうるさくて寝れないので勢い良く私は布団をめくって起きることにした。しかしめくったと同時にはやと君のと思われる苦しげな声がして止まる。何だろうと首を傾げて周りを見回すもはやと君はいない。おかしい。今まで布団を引っ張って叫んでいたじゃないか。



「んー!んー!」

「え?え―――…!!!はやと君!!」

「ぷはっ」

「ご、ごめ、大丈夫?」

「はぁ…はぁ…う…死ぬかと思った…」

「ごめんねまさかこうなるとは」

「う〜…名前ちゃん〜…」



ちょうどめくりあげたところにいたのか、めくった布団に巻きこまれていたはやと君が苦しそうな顔して布団の隙間から登場した。顔面蒼白で私も顔面蒼白。これはやばいと咳き込むはやと君の背中を指で撫でてあげればうるうるとした瞳でこっちを見上げてきた。や、やめて罪悪感で押しつぶされる圧死する!そんなに苦しかったのごめんなさい!



「あ 朝ごはん 作る よ!」

「!!わーい!」

「…」



はやと君が単純でよかった!本当に!ありがとう!
もう笑顔になって私によじのぼってきたはやとくん(ハムスターのごとし!)と朝ごはんのメニューを考えるためにとりあえず冷蔵庫へ向かうとしよう。…私もおなかすいてきちゃったなぁ。







(はやとくんわたし今日はコーンスープ飲みたい)
(ボクも!)


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