「名前ちゃん」
「ん、なぁにハヤト君」
「ふふふ何でもないよ」
「何それ」
「んー!」
「ちょ、苦しいハヤト君」
「充電ー!!!」
「はいはい」
「久しぶりに早く帰って来れたんだからずっと充電しててもいいよね」
「まだやることあるからその時は離れてね」
「えーやだ!」
「やだじゃないよ!」
「やだやだ!ずっとくっついてる!」
「もー」
「お風呂も一緒に入ろ!」
「それもちょっと」
「えぇ…」
「恥ずかしいじゃん!」
「今更じゃない!」
「そそそそういうこと言ってるんじゃないよ!明るいし!」
「じゃあ電気消すよ!」
「う…なんかやだ逆にやらしい…!」
「ええやらしくていいよ」
「いいことないよ!?」
「どうしたらいいの〜」
それは私が聞きたいよ!何と言って言いくるめようかと脳をフル回転させているうちにハヤト君のにこにこ笑顔が近づいた。反射的に後ろに顔を引いてしまい、しまったと思ったけど遅かった、うわちょっと不満顔。
「何で逃げるのかにゃぁ」
「いや、逃げたわけじゃない、けど」
「もっともっと、充電させて?」
「ハヤト、く、っん」
さっきまでのにこにこ笑顔から一転し、ハヤト君の真剣な顔が近づいて重なった。ぎゅ、と強くなる腕の力に引き寄せられて完全に身体も密着する。角度を変えて味わうようにゆっくりと重ねられる唇に堪らずうすく口をあければすぐにハヤト君の舌が進入して来た。夢中で絡み付いてきたそれに必死にこたえようとしたがもっともっとと喰らい付いてくるハヤト君。無理。しぬ。野生的すぎないかハヤトくんどうしたの。
「ふ、ぁ」
「ん、名前ちゃ、は、ぁ、もっと…っ」
「はや、と、く」
逃げても深く深く求めてくる舌に力がどんどんと抜けてくる。そんな私にどんどんハヤト君が覆い被さるような形になり、ついにそのまま床へと倒れこんだ。ハヤト君の腕が守ってくれているので身体や頭を打ち付けはしなかったが呼吸の方は限界だ。力が完全に抜けてハヤト君にしがみついていた手がするりと落ちた。そこで漸くハヤト君が顔を離す。
「…大丈夫?」
「…きつ…い…」
「ごめんね。でも足りなくて」
「ん」
私の口の端から零れていたものをハヤト君の舌がつつつと舐め上げて、もう一度唇に触れたが今度はすぐに離れた。そしてこつんとおでこをくっつけられてハヤト君の完全にスイッチが入ってしまったと思われるギラギラした瞳に見つめられる。
「やっぱり今夜は離れられそうにないにゃぁ」
「…」
逃げられそうにないにゃぁ