絶えず変化するかたち ※学パロ ※ハレルヤ♀化 ※遊び人ライル ※眼を閉じた〜とは全くの別物 ハレルヤは、苛立っていた。 「俺と付き合ってくれないか?」 「……お前頭大丈夫か?」 しつこいだろうが、ハレルヤは苛立っていた。退屈な授業が終わり、ようやく帰れると思えばこれだ。 いきなり呼び出されたと思えば、付き合ってくれ? 単なる告白なら全く問題はなかった。例え彼が、何人もの女子を泣かせている遊び人だとしても、だ。 純粋に告白したのなら、まだ良かったのに。 「本気で付き合ってほしいわけじゃない。用はいたって簡単、名目上俺の"カノジョ"としていてほしいんだ。キスも束縛も一切なし。どうだ?」 「お前俺を馬鹿にしてんのか?」 ハレルヤはこれ以上の屈辱を感じたことがない。本当に、馬鹿にされているとしか思えなかった。 彼……ライル・ディランディは、学校屈指の遊び人だ。ハレルヤは正直彼が苦手で、ライルの噂は違うクラスのハレルヤにも毎日のように耳に入ってきた。そんな彼と関わるつもりもなかったし、これから先関わるようになるとも思わなかった。というか、関わりたくなかった。 それが何だ、何人いるかわからない彼女になれ?苦手な人間だとしても、普通に告白されたほうがまだマシだ。 "自分の飾りの一部になれ" ハレルヤには、彼がそう言っているようにしか聞こえなかった。これほどまでにプライドを傷付けられたことが、今までに一度だってあっただろうか? 「馬鹿になんてしてたら、ハレルヤに頼んでないよ」 本当にこれは頼まれているのだろうか。まともに話したことがない自分に彼女役を頼むことは、ハレルヤにとっては理解しがたいことだった。 「断る。俺はそこまで暇じゃないんでね」 「ふー……。そう言うと思った。……じゃ、仕方ないからアレルヤに頼むとするか」 アレルヤはハレルヤの双子の姉で、ハレルヤはアレルヤを溺愛している。 ライルはクッと口角を上げた。アレルヤの名前を出せば、ハレルヤが了解せざるを得ない事がわかっていたから。 実際、ハレルヤがライルを睨む目には明らかに怒りの色を表していた。 「……お前、ふざけるのも大概にしろよ」 「ふざけてないさ。アレルヤなら、すぐ了解してくれると思うぜ。……ハレルヤが酷い事されても良いの、って…な」 どうする? 爽やかな笑みを浮かべるライルの頬を、ハレルヤは思いっきり殴った。叩いた、ではなく、殴ったのだ。 「……俺は何をすればいい」 「…っ、さっき言った通り。ハレルヤは俺の彼女、ってことにしてくれれば十分」 赤くなった頬を押さえつつも、ライルは歪んだ眉を直ぐに戻した。はい、元通り。色男のできあがり。 「要するに、他の女がお前に近付かないようにすれば良いんだな?」 「そーゆーこと。さすが、ハレルヤは頭いいな」 「……アレルヤに手ぇだしたら殺す」 「ハハ、ハプティズム姉妹の両方に手出したら、他の男にやられちまうよ」 ライル程ではないが、結構な人気があるハプティズム姉妹だ。その狂暴な方をあえて選んだのは正解だった。彼女相手なら、他の煩い女は寄って来ないだろう。 ライルはニッコリ笑うとハレルヤの頭に軽く手を乗せ、その場を去った。扉を閉める音と共に、ハレルヤは近くの机を思い切り蹴飛ばす。 そうして、二人の間に秘密の関係が成立した。 |