冬がはじまるよ
(ロクアレ/夫婦/家族/幼児化)


!注意!

・ロクアレ夫婦
・マイスター家族化
・ショタ刹那(ティエリアの弟)
・ロリティエリア(刹那の姉)

※ロックオンもアレルヤも男
※結婚してます
※ティエリアと刹那=子供










「んむ……うーん…さむ……」


朝と言っても、まだ鳥さえ鳴き出さない時刻。
アレルヤは肩に掛かった厚手の布団を顔まで上げると、足先を小さく擦りつけた。

昼間はあまり感じない寒さだが、朝夕は冷え込みが激しい。日に日に近付く冬の訪れに溜息を付くも、こればかりはどうしようもない。

しかも今日はまた一段と寒く、自然に体が縮こまるのがわかる。そろそろセーターを出さないと、あとストーブも……と頭を動かし始めたアレルヤだが、その表情はまだ少し眠た気だ。

暗闇に慣れた目で確認すると、今の時間は午前4時。
どうしよう、もう少し寝ようかなと小さな欠伸をした時。腹に腕を廻されたかと思うと、温かい胸が背中にピッタリとくっつけられた。


「おはようさん」

「ロックオン……起こしてしまいましたか?」


普段は朝寝坊しがちな彼が寝ぼけているのかと思いきや、すっかり起きているようだ。
昨夜、と言っても今日の話だが、遅くに眠りについたのはずなのに、こんな時間に起きているのは珍しい。


「可愛い奥さんが隣で震えてたからさ……。ほら、もっとこっちきな」


上半身裸で見るからに寒そうな格好をしている彼は、間違いなくアレルヤの旦那様である。
緩やかなウエーブがかかつた茶髪に、海のように真っ青な瞳。少し色黒なアレルヤとは反対の、真珠のように真っ白な肌。

冷えた指先で頬に触ってみるが、スベスベしていて気持ちが良い。指先から伝わる熱に、アレルヤ自身もじんわりと暖かくなるのがわかる。


「しっかし、今日も寒いなぁ……。昨日、服着て寝て正解だったな」

「まったく、裸だったら凍死してましたよ…。ロックオンも、上に何か着ないと風邪ひいちゃいますから」

見ているこっちが寒いですよ、と言うアレルヤだが、ロックオンの引き締まった体に目のやり場に困るというのも事実だ。

ベッドの脇に脱ぎ捨てられた衣類を取ろうと、布団から腕だけを出して伸ばす。肌を突き刺すような冷気に堪えつつも、ロックオンが昨夜着ていた仕事用のシャツを手探りで引っ張り出した。
薄手のそれ一枚だけでは寒いだろうが、何も着ていないよりかは幾分マシだろう。どうせシワだらけなのだから、後のことを考える必要もない。

アレルヤが差し出したシャツを受け取ったロックオンは少し考えた後、極力布団を浮かせないようにしながらそれをアレルヤに羽織らせた。ついでに、開けた胸元を直して第一ボタンまでキッチリと閉めてやる。
パジャマの上から着ても緩いロックオンのシャツからは、彼が愛用している爽やかな香りの香水と、ロックオン自身の持つ匂いがした。前からも後ろからも、体全体がロックオンに抱きしめられているような感覚に、アレルヤはロックオンに触れる指に力をこめる。



「俺はアレルヤを抱きしめてるから大丈夫。…でもアレルヤ、寒そうだな……。やっぱり、電気毛布とか買った方が良いんじゃないか?」

「必要ありません。ロックオンってば、そうやってすぐに甘やかすんだから……」


大切にされているということは、普段彼の優しさから十分感じている。しかし甘やかされることに慣れていないアレルヤにとっては、与えられ過ぎている気がしてしまう。孤独や悲しみと引き換えに、喜びも愛情も、幸せと言う名前のものを全て与えてくれるロックオンに依存してしまっているのがわかる。


「自分の奥さん甘やかして何が悪い。……可愛いアレルヤが寒がってんだ。旦那として、放っとくわけにはいかんだろ」


ロックオンはわざとらしく溜息をつくと、一層腕に力をこめる。アレルヤも、応えるように広い背中に腕を回した。
ホカホカした温もりがロックオンから伝わって、冷たい血が温かいものへ変わっていくようで。

直に聞こえるロックオンの心音に耳を傾けるアレルヤだが、腰に感じた違和感に眉を寄せる。
最初は腰を支えてくれるようにしていた手が、撫でるような動きに変わっていた。


「まあ、どうしても寒かったら俺が温めてやれば良い話か」


モゾモゾ動き出したロックオンの手が、着たばかりのシャツ脆ともアレルヤの服を上へと捲る。
素肌に感じる外気に身震いしつつ、腰から背中にかけてを行き来する手の平をなんとか制そうと手首を掴んだ。


「ロック、何やって…!?今はダメだよ、今からじゃあ時間が…」

「一回、一回だけだからさ、頼むアレルヤ。温まるぞ」

「そんなこと言って、昨日だって一回じゃ済まなかったくせに!……ん…もう、ダメだってば!」





ガチャッ―――キィーー

お決まりのパターンと言えば正にこのことで、ゆっくりと寝室の扉が開かれた。
廊下を照らす明かりが漏れ、オレンジ色の光が寝室に差し込む。


「ガンダム…!」

「……せ、刹那?どうしたの、こんな早くに」

「アレルヤ……」

「ティエリアも!」


アレルヤはこれ幸いと言うように、ロックオンの胸からすり抜けた。乱れた衣服を軽くなおすと、寒さに震える体を腕で抱きつつ扉まで早足で駆け寄る。

ドアの向こうに立っていたのは、刹那とティエリアだった。刹那は漸くアレルヤと離れて眠れるようになり、ティエリアと一緒に寝かせていたのだが。

「二人とも、何かあった?怖い夢でも見たかい?」


刹那はまだしも、小さいながらにシッカリ者のティエリアが二人の寝室に来るのは珍しい。
アレルヤは二人の顔を覗き込むように座ると、小さな手をとる。驚く程冷たい手は、体温が高い子供のものとは思えないほどに冷え切っていた。


「「…寒い……」」


ティエリアのパジャマを掴んでいた刹那が、アレルヤに抱き着く。ティエリアもアレルヤのズボンを強く握り、温もりを求めるように頬を寄せた。


「こっちおいで。ほら、パパとママの間だ」


二人をベッドまで連れて来たアレルヤに、ロックオンはまた一つ溜息をつく。先程までアレルヤがいた場所をポンポン叩いているが、その顔は何処か不服そうだ。


「……刹那。アレルヤの隣は私の場所だ。君はあれの横にいけ」

「アレルヤ、ガンダム……」

「おいおい、二人とも。そんなに俺の隣は嫌なのか」


ベッドに座るアレルヤの左右をガッチリ固める二人は、どちらもロックオンの隣には行きたがらない。父親の悲しい役周りというべきか、刹那もティエリアもアレルヤが大好きなのだ。

結局ロックオンの隣には刹那が寝ることになり、ロックオン、刹那、ティエリア、アレルヤの順で並んだ。
アレルヤに未練を残しながらも、刹那はロックオンの腕枕に大人しく頭を乗せる。


「冬嫌い。寒い……」

「そうか?パパは冬好きだけどなー」

「?」


会社から帰れば寒い寒いとアレルヤに引っ付いているくせに、何を言っているのだろうか。
頭にクエスチョンマークを浮かべた刹那に、ロックオンは勝ち誇ったような笑みを向けた。


「冬は寒いから、ママといっぱいくっつけるだろ?」

「!」


確かに、夏は暑いからとあまりくっつけないが、冬はいくらでもくっつける。
コイツが寒いと連呼する理由はアレルヤにくっつく為だったのかと、刹那はギリリとロックオンを睨みつけた。









(たっだいまーっ!うー寒い寒い、アレルヤー寒いー……ってええ!?)

(お帰りなさい、ロックオン。今日は刹那が寒い寒いって…)

(アレルヤ……寒い…)

(……コイツ…っ!)




――――――

マイスター家族パロでした^^
昨日が良い夫婦の日だったと言うことで、夫婦ロクアレも兼ねて;
個人的に、川の字マイスターとアレルヤ大好きマイスターが書けたので良かったです←



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