大人しいとなんだか寂しいです 5/5



ブチャラティは熱に浮かされた瞳でゆきを見つめた。


「…ゆきは本当に、天使みたいだな。」

「…いきなり何よ?」

いつも唐突にゆきに対して変な発言をするブチャラティだが、今日はなんだか様子が違った。


「いつも思っているんだ。…ゆきが俺だけの天使になってくれたら、どれだけ幸せなんだろうかって。」

「ブ、ブチャラティ…冗談はいいから、早く寝て…」

「冗談なんかじゃあない。…俺はいつだって本気さ。」


いつもだったらゆきも適当にあしらっていたが、普段と違うブチャラティにとても胸がドキドキしていた。

だからきっと、今日はブチャラティの熱に浮かされただけ。

そう心で言い訳しながら、言葉を紡ぐ為に口を開く。


「…ブチャラティの気持ちは嬉しい、と、思う。ブチャラティだけのに、なってあげてもいいよ…。だから、元気になったらもう1回言って?」


ブチャラティはゆきの言葉を聞き、優しく微笑んだ。


「…じゃあ、私帰るから。」

そう言って振り返って歩きだそうとした瞬間に、右手を引っ張られる。


バランスを崩したゆきは、引っ張られるままブチャラティのベットの上へと座り込む。


「ちょっとな…っ!」

文句でも言ってやろうとしたゆきの唇に、柔らかい感触がした。


それがブチャラティの唇だと理解したのは、すぐの事だった。

驚きに目を見開いていると、触れるだけだった唇が離れる。


「…このくらいは、いいだろう?」

そう言ってまた微笑むブチャラティ。


まるでブチャラティの熱が伝染ったかの様に、ゆきの顔は真っ赤に染まっていった。

「ば、ばばばかっ!!!…もうっ、大人しく寝る事!!!じゃあねっっ!!!」


あまりの出来事に恥ずかしさを我慢できなくなったゆきは、今度こそ書類の入ったカバンを握りしめ、部屋を後にする。


慌てて玄関を飛び出し、そのままマンションの廊下を走っていたゆきだったが、鍵を閉め忘れた事を思い出し、再び急いで玄関前へと戻る。


スタンド能力できちんと鍵を閉めた。

その時ちらりと見えたゆきスタンドが、情けない様な顔でこちらを見ていたのには知らないふりをして、また歩き出す。


アバッキオの元へと戻ったゆきだったが、ブチャラティの部屋での出来事を思い出しては恥ずかしがるの繰り返しで、一日はあっという間に過ぎていった。


そんなゆきの姿を、変なものでも見るかの様に眺める5人の姿がそこにはあった。


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後日、げんきになったブチャラティは花束を抱えて現れた。

そしてみんなの前で「俺だけの天使になってくれるか?」と告白した。

まだ花束を受け取ってもおらず、返事もしていないのにも関わらず、早とちったナランチャが大騒ぎして空気をぶち壊した。

だけどゆきには、ナランチャの存在がとてもありがたく思えた。

「(…だって恥ずかしいもん。)」


こうして「変態に恋された」ゆきは変態に恋して、幸せに暮らすのであった。

そしてそんな二人のことを親しみを込めて、みんなはこう呼んだのだった。


pervertito夫婦」


大人しいとなんだか寂しいです
これにて終了!(続編に続く…かも。)


お題:確かに恋だった様
変態に恋されてしまいました5題より。


[完]


 

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