くっつかないでください移ります変態が 4/7
それからしばらくローマを観光して、目的のトレヴィの泉へと行った。
やはりナランチャはトレヴィの泉で大暴走し、泉に飛び込もうとするわ、お金を取ろうとするわ、はたまたお金を大量に入れようとするわ…。
とにかくフーゴとゆきはひたすらナランチャを止めるのに必死で、観光どころではなかった。
フーゴとゆきが一生懸命ナランチャを止めている間に、アバッキオ、ミスタ、ブチャラティはいなくなっていた。
「もう、みんな一体どこに行ったのよ〜!…ナランチャ、フーゴ!みんなを探しましょ!」
そう言い、トレヴィの泉で未だ騒いでいるであろう2人の方へ振り返る。
しかし、そのに2人の姿はなかった。
「…あれ、もしかして迷子になったのって…私???」
やばいやばいやばい。
右も左も分からない見知らぬ土地で迷子って、非常にやばい。
こういう時は動かずその場にいるっていうのが迷子の鉄則なのだが、そんなことを知らないゆきは、とにかく動き回る。
「も〜!!!最悪〜〜〜!!!!」
ひたすらローマの街を走る。
みんないない!!どこ!!!!
お洒落な街並みなど目もくれず、キョロキョロと辺りを見渡す。
その時、ふと誰かに腕を握られる。
「みんな…っ!!!」
「ねぇちゃんさっきからどうしたの〜??俺がローマ案内してあげるよ〜???」
ゆきの腕を握ったのはチームの誰かではなく、ローマのチンピラだった。
「…いえ、結構よ。連れと来ているの。」
冷たく睨みつけ、ゆきはチンピラの手を振りほどこうとした。
「なんだクソアマッ!優しくしてやってっんのに調子乗りやがってよォ〜〜〜!!!」
そう言って男は、殴りかかってくる。
「(…やばい!距離が近すぎてマリオネット・ドールが間に合わない!!!)」
殴られる!!!
そう覚悟を決めて目をつぶったゆき。
ーーーーーいつまで経っても、殴られる痛みはこない。
おかしいと思い、そっと目を開ける。
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