くっつかないでください移ります変態が 3/7
「お前らッ!もうすぐローマに着くぞ!!!」
心なしか、イラついていたブチャラティの表情もマシになった様に見える。
「っしゃあ!!!俺、トレヴィの泉にコインぶち込むのが夢だったんだよなぁ!!!!」
「ナランチャ、知らないんですか?トレヴィの泉は後ろ向きにコインを投げるんですよ…」
「そーなのか!??なんだよ、たくさん入れてやろうと思ってたのによー。」
ちぇっ、とナランチャが足を組み替える。
ゆきはというと、初めてのローマに心がウキウキすると同時に、ずっと運転しているブチャラティの事が気がかりなのであった。
いくら変態といえども、やはり大事な仲間である。
「そんなに心配なら、心配っていってやりゃあいいじゃねえか。」
「冗談よしてよアバッキオ…」
絶対に言ってやらない!
そんな事言ったらブチャラティは調子乗っちゃうし…。
「ん?…何か言ったか?ゆき。」
「ブ、ブチャラティ…。な、なんでもないよ〜!」
あははと愛想笑いをする。
どんだけ地獄耳なんだよ、ブチャラティ。
まあでも、今日くらい少しくらい優しくしてやってもいいかな、なんて思ったり。
やがて車は停車し、ようやく目的地のローマへと着いたようだ。
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