4部 short小説 | ナノ

悩みを吹き飛ばせ! 3/3



ぽかん…っとゆきが呆気に取られていると、仗助が口を開く。


「大丈夫っスかゆきさん。」

日本人離れした、青みがかった仗助の美しい瞳がゆきを見つめる。


「(あぁ、仗助くんの目は綺麗だなぁ。ハーフか何かかな…?)」

ぼやっとそんな事を考える。


「…ゆきさん???」

更に近づいた仗助の顔に、ハッとして慌てて返事をする。


「あ!え、な、なに???」

「ぶはッ、その様子なら大丈夫そうっスね!!!」

先程、大の大人を怯えさせたとは思えないほどの可愛らしい笑顔にゆきは胸が高鳴る。


「(だめだめだめ…っ!!!)」

ドキドキする胸を落ち着かせ、仗助に話しかける。


「ありがとうね、仗助くん。本当に助かったわ!…ところで、なんでこんな所に?」

単純に気になった疑問を仗助に投げかける。


そして仗助くんは急にぼっ!と顔を赤らめ、肘で顔を隠す。

「(えっ…!!!!)」

更になぜかゆきもつられて顔を赤らめる。


「…ったく、カッコわりぃ俺…。」

ぼそっと仗助は呟き、赤い顔のまま決心したようにゆきを見る。


「ゆきさんに会いたくなって、いてもたってもいられなくなったンすよ。…悪ィっスかッ!??」

正直に、素直に気持ちを伝えてくる仗助。


ゆきは頭では分かっているのに、そんな仗助にときめく。

もう自分でもどうする事も出来なかった。


「…ううん。悪くない、よ。」

そう小さな声で呟けば、仗助は嬉しそうに目を垂らし微笑む。


なんだか、私も仗助のストレートさに当てられてしまったようだ。


「…一緒に帰る?」

そう、だいぶ遠回りになってしまう仗助を誘う。


また朝の様に、ゆきだけに見える尻尾を振り回しながら仗助は元気に返事をした。


「一緒に帰るっス!!!!」


もう、今までの悩みなんかどうにでもなれ!

とゆきは隣で今日あった学校の出来事を一生懸命に話す仗助の話を聞くのであった。

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