4部 short小説 | ナノ
悩みを吹き飛ばせ! 2/3
こうして、高校生の男に会社まで見送られゆきの一日は始まるのである。
「あんたまた高校生に送って貰ってんの?は〜羨まし〜!」
そうバッチリ会社の入口で鉢合わせた同僚と、歩きながら会話をする。
「だって…断れないんだもん〜!!!どーしよーー!!!」
頼まれると断れない性格のゆきは、明らかに好意を寄せてくる仗助を突き放せないのであった。
「でも羨ましいけどね、あたしは!あの子イケメンだし、背高いし、それにあんたにゾッコンじゃあない???勿体なーい!」
そう、ため息をつく同僚。
「好かれてるのは嬉しいけどさ…。あんな年下の子なんて、こんなおばさんすぐ飽きちゃうじゃん!!!」
本気になって、振られてしまったらもう一生立ち直れない。
そうぼやき、ゆきは同僚のに非難する目なら逃れるため仕事を開始する。
あれやこれやと仕事が増え、お昼ご飯を食べてまた仕事の続きをする。
くたくたになった頃、ようやく仕事が終わる。
「お疲れ様です〜…!」
早く帰ってビールでも飲もう。 そう思って急ぎ足で会社を出ようとする。
「あ〜!ゆきちゃん〜!」
「…お疲れ様です。早川さん…」
そう言ってゆきをひきとめたのは会社の先輩、早川という男。
最近やけにご飯に行こうやら、悩みがあるなら聞くよと理由を付けて誘ってくるのであった。
「今日さ、なにか予定あるの?ご飯行こうよ!」
でた。いつものご飯行こうよ。
心の中で誰が行くかバーカと呟いた。
「すいません、早川さん。今日はちょっと…」
「え〜?なんでなんで〜???いいじゃん!行こうよ〜!!」
馴れ馴れしく肩まで組んで、会社の外へと歩く。
ぐいぐいと誘われ、どう断るものかと悩んでいると…
「ゆきさん、遅ぇッスよ!」
そう、毎朝聞き慣れてしまった声が。
「じ、仗助くん!!?」
改造学ランのポケットに手を突っ込み、脇でぺしゃんこのバックを持っている仗助の姿が。
「え、なにこのガキ?」
早川は首を傾げ、こう続ける。
「これからゆきちゃんと俺はご飯に行くんだ、わかる??…お子ちゃまは家に帰れってんだっ!」
「ちょっ!!!」
早川の衝撃発言に、否定の言葉を口にしようとする。
しかし、それよりも早く仗助は早川を睨みつけた。
「…俺の目にはよォ、嫌がるゆきさんをアンタが無理やり連れていこうとしてるように見えたんだがよォ…。」
俺の見間違いっスか???
そう、仗助君を知る私でもビックリするような怖い顔で早川に向け言う。
そして続けて、
「ゆきさんの嫌がる事をするやつァ、俺は誰であっても…」
そう言葉をためて、逞しいその腕をバキバキと鳴らす。
「…あ、あぁ〜!!!そうだ、そうだった!!!俺、これから用事があるの忘れてたー!…ゆきちゃん、また明日ね!!!」
仗助のその先の発言を聞かずに、早川はあっという間に去っていった。
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