4部 short小説 | ナノ
たったひとつの 4/4
2人で一緒に帰り道を歩いている。
仗助は未だゆきにチョコの事を聞けずにいた。
「(やっぱゆき…俺にはチョコくれねーんだ…)」
明らかにゆきからチョコを貰えず落ち込んでいる仗助の姿を見て、ついにゆきは吹き出してしまった。
「…は?」
何故ゆきに笑われたか理解できない仗助は、口をぽかんと開けている。
「ごめんごめん仗助!ちょっと意地悪しすぎたね。」
そういってゆきはカバンの中に手を入れる。
そして、カバンの中から出てきたのは…
「…ッチョコ!!!!!」
キラキラした目でゆきとチョコを見る仗助。
余程嬉しいのか、仗助の目にはうっすら涙が浮かんでいた。
「仗助、朝見たら色んな女の子からチョコ貰ってるんだもん。…やっぱりちょっと嫉妬しちゃうもん。」
「いやぁ、あれは…」
仗助は気まずそうにポリポリと頭をかく。
「でももういいの!…仗助、私のチョコに涙が出そうになるくらい喜んでくれてるもの!」
ふふふ、と微笑むゆきに仗助は心臓部分を押さえ、呟く。
「グレートだぜ…」
ありふれた沢山のチョコよりも、大好きな人からのたった1つがこんなにも嬉しいものだったのか。
「俺、すッげー嬉しい。」
念願のチョコレートを貰えた仗助は、満面の笑顔でゆきを抱きしめた。
そしてその後2人は、東方家にて仗助が貰ったチョコを仲良く一緒に食べあいっこしたのであった。
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