もっと話したい 2/4
テストの点が悪い事に小言を言ってくる両親の愚痴や、あのバールのカフェラッテが美味しかったなど、たわいも無い話を猫にする。
「それでね…」
「あの」
「ーーーっ!!!」
まさか人が来るとは思っていなかったゆきは、突然後ろから声を掛けられ、大袈裟すぎるほど肩をビクつかせ驚いた。
「すいません、そんなに驚くとは思わなくて…」
「は、はひ…」
極度の緊張に声が裏返ってしまったが、恐る恐る声がした方へと振り返る。
そこに居たのは、学校で知らない人がいないのではないほどの有名人、ジョルノ・ジョバァーナだった。
「(近くで見ても、本当整ってる…そりゃ皆が騒ぐのも分かるかも…)」
校内一の、超がつくほどの美少年に思わず見とれてしまう。
「君、いま話してたの日本語ですよね?」
「…へ?」
不意に"日本語"という単語が耳に入り、思わず変な反応をしてしまう。
「僕の聞き間違えじゃあなければ、君はいま日本語を話していた。…違いますか?」
「い、いや…合ってます…。てゆうか!なんで日本語って…!??」
徐々に思考回路も正常に働き始めたようで、ふと湧き上がる疑問を口にする。
「あぁ。僕、日本とのハーフなんです。…小さい頃日本にいたので、少しは日本語も分かりますよ。」
「え!???」
ジョルノ・ジョバァーナという人物は、金髪である。
それでいて、到底日本人の血が混ざっているとは思えない、まるで美しい絵画から飛び出たような顔立ち。
「いやいやいや…本当に???冗談じゃあなくて??」
「もちろん。冗談じゃあないですよ?…僕の本当の名前は、汐華初流乃と言います。」
イタリアでは呼びやすいので、ジョルノ・ジョバァーナと名乗ってるんです。
日本語も少し喋れますよ?
…あなたが先程喋りかけていたのは"ねこ"
日本人が食べる為に使う道具は、"おはし"
グラッツェは"ありがとう"
ボーノは"おいしい"
どうですか???
唖然とするゆきにジョルノ・ジョバァーナはすらすらと話していく。