教えてあげない! 5/6
「神」というものを信じているミスタにとって、ゆきの存在は例えるとするならば、まるで自分だけの女神なのだ。
そしてその様に思うミスタを、ゆきはとても愛おしく思っていた。
4の数字を怖がって私に泣きついてくる所も可愛くて好き。
声を掛けた女の子に冷たくされ、自分の魅力に不安になって私に縋ってくる所も。
ギャングとしても非常に頭のキレるミスタが、なりふり構わず私に頼ってくる所なんかも。
きっとそんな姿、他の女の子達が見たら幻滅しちゃう。
更にピストルズもミスタの分身達ということもあってか、必然的にゆきの言うことを1番に優先するのであった。
そんな風に、ミスタが無意識に全身全霊でゆきを愛してくるところがなによりもゆきは好きだった。
しかしそれを口に出し、ミスタが何処からか聞いてしまったら、それはもう無意識な事ではなくなってしまう。
それに言ったところで、到底人に理解される様な理由でもないのはゆき自身も分かっていた。
「おいおいゆきってば!なァにミスタを見たまま黙ってんだよォッ!!」
もう我慢出来ない様子なナランチャに声を掛けられ、視線を向ける。
「やだナランチャ、怒らないで!ちゃんと理由を考えてたのよ?」
口を尖らせナランチャは言った。
「まぁ、教えてくれるならいーけどよォ…」
「考えついたならよォ、早く教えてくれてもいいんじゃあねェか?」
「はは、アバッキオも待ちきれないんじゃあないか。」
「そういうブチャラティも、早く聞きたそうじゃあないですか。」
ブチャラティの腕組みしている間から覗く人差し指が、忙しなく動いているのをフーゴは指摘する。
「じゃあ、教えてあげる!ミスタの好きなところはーーー…」
そうゆきが4人に伝えると、離れた場所でまだ言い合いをしていたミスタとジョルノも、ピタッと静かになった。
「………体臭!」
部屋は一瞬にして空気が固まった。