教えてあげない! 4/6
「ん…?あぁ、そうだな。俺も気になるな、教えてくれるかゆき?」
ニッコリ。と音がつくほど素敵な笑顔で首を傾げるブチャラティ。
ゆきは思わず座っている椅子からひっくり返りそうになる。
ーーーー忘れてた。
ブチャラティは、空気読むのがなかなか苦手なんだった…
うーん…とゆきはどうしたものかと悩みながら、未だジョルノと言い合っているミスタを横目で見る。
確かにミスタは自由奔放で、女たらしだ。
私が傍にいてもすれ違う女の子達には手も振るし、軽々しく声もかける。
イタリアの男ってどんな感じなの?
なんて聞かれれば、ミスタのような男。と答えたくなるくらい、まさにイタリア人を表すにはピッタリな、お手本のような男だ。
そしてゆきの周りの日本人達は、皆揃ってミスタに対して、一人の女だけ見れない男はやめておけ、チャラい男は駄目だ。と、批判する。
なぜなら日本人という人種は、恋愛においても凄く真面目であるから。
だけど、ゆきからすればそんな事はなんの問題にもならなかった。
私だけが知るミスタ。
そして、私だけに見せてくるミスタ。
ゆきはそれだけで、満足だった。
ミスタという男は芯が強くて、正しい事を正しいとはっきり言える真っ直ぐな人だ。
一見ヘラヘラと楽天的に見えるが、私の前だけで見せる弱い姿がある。
ミスタがゆきを見る目は、普通には理解し難いであろうが明らかに、他の女の子を見るのとは違う目なのであった。