好きだから 6/6


とても綺麗な装飾が施された、指輪がひとつ。


「ほら、アバッキオってお洒落じゃない?…私、自信なくて。でも、これすごくアバッキオに似合うと思って、選んだんだけど…。」

ゆきは恥ずかしそうにアバッキオを見る。


紫がかった色の宝石が、なんともアバッキオの心を擽った。

それよりも、ゆきがこうして選んでくれたという事がなによりも嬉しかった。


「…指輪は普通男があげるもんだろうが。」

つい照れ隠しでアバッキオは言う。


本当は違う。

素直に嬉しいと伝えたいのに。


「あら、別にいいじゃあない。気にしてないわよ。」

そう言って、アバッキオを抱きしめるゆき。


ゆきの耳元が、アバッキオの顔の近くに見える。

指輪の箱を持ったままゆきを抱きしめかえし、そっとアバッキオは口を開く。


「…すまなかった、肩、押さえつけちまって。痛かっただろ。」

「ううん、平気よ。」

「怒鳴っちまって、悪かった…」

「アバッキオの新しい一面が見れて、幸せよ。」


ゆきは、まるでアバッキオが何も言わなくても分かっているという様に抱きしめる力を強くする。


「アバッキオが、こんなに嫉妬深いなんて初めて知ったわ」

ふふふと、いつもの天真爛漫に笑っているのだろうと想像がついた。


「悪ぃかよ。」

そう呟けば、ゆきからは

「悪くないわよ。」

なんてまた笑いながら返してきた。


あぁ、やっぱり俺はコイツの事が好きで好きで堪らねぇらしい。


アバッキオはその言葉は口に出さず、一生大事にゆきを守っていくと心に誓ったのだった。


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※2019/02/03に、拍手コメントでリクエスト頂いたアバッキオの嫉妬です。

拙い文章ですが、少しでもご満足頂けたら光栄です…。

リクエストありがとうございました!!!!

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