好きだから 5/6


「み、見てたって…。それにっ、そんなに怒らなくてもいいじゃあないっ!!!」

今までどんなに困らせてしまっても怒らなかったアバッキオに、ゆきは驚くと共に困惑した。


ゆきは突然の事にどう言ったらいいのか分からず、つい強い口調で返してしまう。


「…そんなにブチャラティがいいのか。」

「え?」

アバッキオはゆきから手を離す。


「怒鳴ったりして悪かったな。…てめぇとはもう、今日で終いだ。」

ゆきの顔を見れないアバッキオは、後ろを向けて部屋を後にしようとする。


「ちょっ、ちょっと待ってよアバッキオ!!!なんでそこでブチャラティが出てくるの!???」

驚いた表情のゆきが、アバッキオの腕を強く握り引き止める。


「なんでって、昨日。…お前ブチャラティといただろうが。」

「いたけど…!!!…見てたのならなんでそんな捉え方になるのよっ!!!」


今度はゆきがアバッキオに怒鳴り始める。

急にゆきに怒鳴られ、アバッキオは呆然とする。


「…アバッキオにサプライズで用意しようとしてたのにっ!!!…ブチャラティには、協力して貰ってただけなのにっっ!!!!」


「…あ???」


思いがけない単語が聞こえて、アバッキオは聞き返す。


「今日が何の日か、覚えてないのっ!!???」

そう、ゆきがアバッキオに問う。


「なんで今日の話に…っ!!!!」

なるんだよ、っと言葉を続けようとしたアバッキオだったが、はっと今日が何の日かを思い出したのだった。


「今日は、私たち2人が付き合った記念日でしょっ!!!!」

もう、忘れてたでしょ???

と、ゆきはアバッキオの方を見て軽く睨む。


長く一緒にいすぎて、いつからかそんな事を気にしなくなってしまっていたアバッキオ。

ゆきから言われて、ようやく思い出したのだった。


ゆきはそっと、クローゼットへと歩いていき中にある紙袋を手に取る。

そして、アバッキオの前まで歩いていき優しく押し付ける。


「はい、コレ。…驚かそうと思ってたけど、逆に不安にさせちゃったんだね…。」

ごめんね、とそう呟くゆきから袋を受け取る。


視線を紙袋へと移すと、そこは昨日の夕方最後に見たブチャラティとゆきが入っていった高級ブランドのマークがあった。


「アバッキオ、ブチャラティと仲良いでしょ?…あなたの喜ぶ顔が見たいから、ブチャラティにアドバイスして貰ってたのよ。」

とびっきり素敵な物を選んだんだから!

そうゆきはアバッキオに言い、早く中を見て頂戴と急かす。


丁寧にラッピングされた箱を取り出し、アバッキオらしく几帳面に、箱を解いていく。

そして、箱を開けると…

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