好きだから 4/6
アバッキオは家についてからの記憶が曖昧だった。
このクソアマとゆきを罵った様な気もするし、俺を捨てないでくれと抱きしめたような気もする。
ーーーー気がつくと朝だった。
「あ!よーやく起きた!アバッキオ、おはよう。」
部屋のカーテンを開いたのだろう、ゆきの姿が目に入る。
頭が混乱する。
俺は、いったい…
震える右手でおもむろに頭を抱えるアバッキオ。
そんなアバッキオを前に、ゆきはアバッキオへと笑いかける。
「…?どーしたのよアバッキオったら!昨日飲みすぎちゃったの?」
なんて、へらりと気の抜けた顔を見せてくる。
アバッキオは一気に昨日の記憶が蘇り、その勢いのままベットから降りゆきの肩を抱く。
「…ちょ、痛いっ!アバッキオ!!!」
ゆきはアバッキオの握る肩の力に、抗議の声をあげる。
「お前…昨日どこにいた。」
腕の力も緩めるまもなく、静かにゆきに問いただすアバッキオ。
「昨日…???ええっと、女友達とランチしてたのよ…、つい話が盛り上がっちゃって…」
なんて目線を逸らし、白々しく誤魔化すゆき。
「俺は昨日のお前の様子を見てたんだぜ。…下らねェ嘘なんてつくんじゃあねぇっ!!!!」
今までゆきに対して怒ったことのなかったアバッキオは、初めてゆきに怒鳴りつけた。