好きだから 2/6
日々の仕事で疲れているのだろう。
ゆきはすぐ眠りについた。
アバッキオはそっと起き上がりベットから出て、ゆきの側へと歩いて向かった。
ーーーームーディー・ブルース
アバッキオは自身のスタンド、ムーディー・ブルースを使おうとしていた。
彼はもう、我慢の限界だったのだ。
この真実を突き止めて、自らの不安の心をいっそ早く楽にしてやりたい。そう思ったのだ。
「(確か、家を出たのが2時頃だったはず…。遡るのは…10時間前くらいか。)」
アバッキオはムーディー・ブルースで過去のゆきを再生し始める為に姿を現す。
そのままアバッキオはその姿を追いかけた。
ムーディー・ブルースは丁度今から外に出ようとしている時のゆきへと姿を変える。
「アバッキオごめんね、ちょっと今日は用事があるから出かけてくるね!」
そうゆきはアバッキオに告げ、部屋を出た。
アバッキオはそのゆきの後を静かに追っていく。
どうやらネアポリスの街中へと向かっているらしい。
徐々に騒がしくなる街並みを歩いていく。
ゆきは、何かを見つけたのか手をあげ振り始める。
待ち合わせしている誰かを見つけたのだろう。
その次にゆきから発せられた言葉に、アバッキオは言葉を失った。
「お待たせブチャラティ!!!」
俺の愛する女は、今ブチャラティと言ったのか…?
ブチャラティは、今来たばかりだとかそんな事を言っていたような気がするがアバッキオの耳には入ってこなかった。
「(俺は…)」
俺はもし仮に、ブチャラティとゆきがデキていたらどうするのだろう。
答えの出ない疑問に悩む。
しかし、2人を信じたいといアバッキオの心がもう少しだけこのまま様子を見ようと決めた。