夢が叶うその日まで 6/11
「…驚いた、ゆきがここにいるなんて。俺は夢でも見ているのか…?」
ブチャラティは綺麗な目をぱちくりさせる。
そして、抱きつかれて固まったままの手をゆきの背中へと持っていく。
「ブローノ、大きくなった。」
「それはそうだろう。ゆきだって…」
ふたりは、顔を見合わせ笑う。
あぁ、なんて幸せなんだろう。
「ブローノ、私、頑張ったんだよ。」
ぽつりとゆきは話し出す。
「ようやく、大きい仕事を貰えて。こんど、新曲を出すんだけどね、イタリア以外にも販売するんだ。」
「…俺も知ってるぜ。噂で聞いたんだ。ゆきの活躍はネアポリスで知らないヤツはいないからな。」
嬉しかった。
ブチャラティが私の活躍を知っててくれて。
「ブローノは、どうしてた???ブローノのおじさんも…」
何気なく言った言葉だった。
ブチャラティの事も好きだったが、優しかったブチャラティのお父さんの事も好きだったのだ。