希望 3/4
「そう、なの。お母さんは元気そうでしたか?」
そうトリッシュに尋ねる。
「はい。ゆきさんの事を心配なされていましたよ。きっとまだ、あの子の事を待ち続けているから…っと。」
「…待ち続けている???」
そのフレーズが気になった私は、同じ言葉を口にした。
「どういう…意味???」
トリッシュが勢いよく、頭を下げる。
「ごめんなさい!!!ゆきさん!!!…私、あなたの事、聞かされてなくて…知らなくって…」
トリッシュの瞳に涙がたまる。
「ブチャラティは、私を助けてくれて…。その時に、命を落としました…。最期まで、仲間達を守って…戦っていました…。」
泣きながら頭を下げ、震えるトリッシュ。
あぁ、ブローノは死んだのね。
トリッシュの涙をみて、ようやく実感が湧いてきた。
薄々は、気づいていた。
彼は私の事を心から愛していたし、優しい彼は何も告げずに私の前から去っていく事は、絶対ないと知っていた。
何も告げずに帰ってこない。
それは、彼の死だっていうことを。
「トリッシュ…。謝らないで…。」
顔を上げて。っと彼女の震える肩を支え、起こさせる。
「ブローノらしいわ。彼は、あなたを守れて誇らしく、死んで行ったはずよ。」
誰かを守って死ぬなんて…
なんて優しい、彼らしい最後なのだろう。
「伝えに来てくれて、ありがとうトリッシュ。」
「ゆきさん…。ごめんなさいっっ。」
もう一度、トリッシュが頭を下げようとした時。
「おぎゃーーーーーーーーっっっ!!!!」
おぎゃー、おぎゃーっと部屋の奥から赤ん坊の泣き声がする。
「あら!起きちゃったのね…。トリッシュ、ちょっと待っててもらえる?」
ゆきはそう告げ、部屋の奥へと小走りでいく。
状態をいまいち呑み込めず、ポカンとトリッシュがしていると、赤子を抱いたゆきが戻ってきた。