5年越しの 5/5
ゆ、夢じゃあない!!!!!!!
足を組みながら、優雅にエスプレッソを飲むブチャラティ。
あぁ、そんな姿も絵になる…。
かっこいい…。
って違う!!!!!!!!
「ほ、本当に…??????」
信じられなくて、ついぽろっと言葉が漏れる。
「本当だぜ?おれはゆきに嘘なんかついたりしない。」
ブチャラティは綺麗な瞳で真剣に見つめてくる。
嘘をついているなんて思わない。
「ゆきはおれの事、好きじゃあないのか?」
そう、ブチャラティに問いただされる。
不安そうにブチャラティの瞳は揺れていた。
「そっ!そんな事ない!!!!…昔、私が…ネアポリスに旅行に来た時に、助けてくれた時から…!!!!!」
ブチャラティは昔旅行に来た時に助けてくれた、命の恩人。
私が全てを投げ捨ててネアポリスにやってきた理由…。
会社が嫌になっただけならば、別に日本で就職すればいい。
だが、それをしなかったのは。
自分の奥底にずっとあった、隠しきれない気持ち。
ーーーブローノ・ブチャラティを忘れる事が出来なかったから。
「ずっと、ブチャラティの事が…好きだった!!」
自分の胸の内をさらけ出し、言葉と共に涙が頬をすべる。
「ーーーゆき。」
正面に座っていたブチャラティが、床に右膝をつき隣にくる。
そして私の涙をすらっとして、それでいて男らしいブチャラティの指がすくう。
「俺も。ゆきがずっと忘れられなかったんだ。また会えた時は心臓が止まったかと思ったぜ。」
そう笑い、
ブチャラティは近づいてきてーーー…
「ーーー!!!!!!!」
そっと触れるだけのキスをした。
「一生幸せにする。ゆき、好きだ。」
そういって、ブチャラティは微笑んだ。
5年越しの片思いは、いまようやく実ったのだ。
「ずいぶん、遠回りしちゃったね…。」
「今からその5年分を埋めればいいんじゃあないか。」
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ミスタ「おいおい!見たかよォ!ついに、ブチャラティにも春が来たじゃあねーか!」
フーゴ「こら!ミスタ!!!ばれるじゃあないですか!」
ナランチャ「ひゅー!ひゅー!あいつら、キスしやがったぜ!!!!!!」
アバッキオ「ふん、あいつらバールって分かってんのか。」
しっかりチームのみんなは見守っていたのだった。