はい、あーん 4/4


ハッとしたゆきは、そのトロトロとした柔らかいプリンをスプーンですくう。

そしてゆっくりとジョルノの口の中へとプリンを入れた。


ジョルノの口は閉じられ、上下の唇でスプーンを挟んでスプーンについたプリンを口内へと誘導する。


ゆきはジョルノから次のプリンをあげる為に、スプーンを引き抜いた。


口に広がる上品なその甘いプリンの味に、ジョルノの頬は蕩けているようだ。

その姿をとても愛おしく思い、ゆきは更にスプーンでプリンをすくい上げる。


「はい、あーん。」

ジョルノは蕩けている顔をそのままに、また口を開けた。

その姿はまるで、母親からご飯をもらう小さい雛のようだった。


もぐもぐと幸せそうに頬を緩めるジョルノは、どこからどう見ても16歳そのもので。

全く屈強な男達を纏めあげてる様には見えないのである。


「ふふっ」

「ゆき?なに笑ってるんです?…早くプリンが食べたいです。」

「ごめんごめん!はい、あーん!」


この幸せそうに頬を緩ませているジョルノの姿を、一生見ていたい。


弱冠16歳でもあるのにも関わらず巨大な組織を纏め上げ、時には残酷な道にも進まざるを得ない宿命でもあるジョルノの支えになりたい。


ゆきの傍にいる時だけは、普通の幸せな16歳として過ごして欲しい。


なによりもジョルノの安らげる場所になりたいと、今日この瞬間に、改めて強く思ったのだった。

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