5年越しの 3/5
ばちっと、入ってきた男と視線が会う。
「チャオ!ゆき。お昼かい?」
「わ、ブチャラティ…チャオ!!」
この男は、ブローノ・ブチャラティ。
ネアポリスを仕切るギャング、パッショーネの一員である。
なぜ、ギャングであるブチャラティと仲良くなっているのか、話すと長くなってしまうが…
一言でいうと、命の恩人である。
「今日はゆきに会えて、なんてラッキーな日なんだ。…そうだ、よければ座っても?」
相変わらずイタリアーノなブチャラティは、恥ずかしい言葉をかけてくる。
「大袈裟だよブチャラティ!!!」
生粋の日本人であるゆきは、耳が赤くなる。
机のお皿をまとめ、ブチャラティに気付かれないように誤魔化す。
「おいしそうなパニーノじゃあないか。」
「そうなの!マスターの作るパニーノはすっごく美味しいよ!!!」
「おれはいつもスパゲティーを頼むんだ。そんなにゆきが勧めるのなら、1口貰おうか。」
そう言い、ブチャラティは私の持っている食べかけのパニーノへーーーー…
「うん、とてもうまいな。」
ぺろっと口の周りを舐めるブチャラティ。
なんて…なんて…
なんてかっこいいの!!!!!!!!!
様になり過ぎてるし、なにより、なにより!
関節キスーーーーーー!!!!!
さすがに私も関節キスごときで狼狽えるような純粋さはないが、なんせ相手はブチャラティ!
何を言おう、この命の恩人のブチャラティに私は惚れているのだ。
ドキドキしながら、ブチャラティが食べたパニーノに齧りつく。
あぁ、もう!!!!!
嬉しいけど、恥ずかしい!!!!
けど、美味しいよーーー!!!