歩む道 3/4
「(…どうしたものか。)」
そう頭を巡らしていたゆきは、更に驚く事を目にすることになるのだった。
ーーーージジジジ…。
目の前の路地裏の壁から、突如ジッパーが現れた。
そして、その中から白いスーツを着た男が出てきたのだ。
「…見逃してやろうと思っていたが、貴様はもう…始末させてもらおうッ!!!」
そう男は叫ぶと、その身体から青と白の"ソレ"と似たような姿形をしたものを出したのだった。
ゆきの横にいた筈の男は、一瞬の間に後ろに吹き飛んでいった。
恐らくピクリとも動いていない所を見ると、既に息絶えてしまったのかもしれない。
ゆきは吹き飛んだ男から、正面にいる男へと視線を移す。
バチリと交わった視線にゆきは胸がざわついた。
幼い頃からゆきの傍に常にいた、ソレと同じものを持つ男。
「怪我はないか?」
心配してくる男の問いには答える余裕はゆきにはなく、必死に言葉を紡ぎながら疑問を投げかけた。
「さ…さっきの、青いの…。」
男は一瞬驚いた顔をしたが、直ぐに口を開く。
「…君はスタンド使いなのか。」
「…スタンド???」
聞き慣れない単語に首を傾げる。
「そこにいる、ソレはきっと君のスタンドだろう。…知らないのか?」
男はゆきの近くで佇んでいるソレに視線を向けた。
つられてゆきもソレに視線を向ける。
ソレはいつもと同じく、しっかりゆきの方を見つめていた。
「…そう、あなたスタンドっていうのね。」
お化けなどの不確かなものではなく、"スタンド"という名前のついたものである事にゆきは安堵した。