依存 2/2
かくしてゆきは、ジョルノの懸命な看病のお陰で昔の自分を取り戻す事が出来たのだった。
幸いなことに、スタンドの才能があったゆきはそのまま組織へと入団することになった。
そしてジョルノの側近として仕えることになり、今に至るのだ。
もちろん初めは組織の者から、いきなり新参者が側近になった事に不満の声が上がったが、ゆきの実力を次第に周りは認め、その声も今や聞こえなくなったのだった。
だがゆきの姿をその目で見たものは、数える程しかいなかった。
ジョルノの側近で、素性を隠してる凄腕の女。
他のギャング達はゆきをそう噂していた。
しかしミスタを含む、ゆきの姿を見た事があるものは皆声を揃えてこう言うのだった。
「ジョルノの人形」
ジョルノの力を持ってしても、ゆきの麻薬の後遺症は消えなかった。
時に自我を持ち、時に幻想を見る。
その間隔はまばらだが、どちらかといえば後者の方が多かった。
ゆきは美しかった。
麻薬を辞め、やせ細っていた身体は徐々に元の美しい姿に戻っていた。
そしてそのゆきの美しさに、ジョルノは魅了されていった。
常に自らの手元にゆきを置き、美しい人形を愛でるように大切に扱うのであった。
そしてゆきは時にジョルノを命の恩人と慕い、時に神様だと眺めるのである。
麻薬の後遺症で幻想をさ迷っている時のゆきは、定まらない意識の中で常に神様と出会っているのだった。
その正体はジョルノであったが、ぐちゃぐちゃになる意識の中ではゆきの脳内で理解出来ないのである。
そしてその神様は、ぐちゃぐちゃの世界からゆきを連れ出してくれるのだった。
だからゆきはその神様を信仰していた。
愛でるものと、信仰するもの。
奇妙な関係だが、ふたりはそれでもよかったのだ。
むしろそれが、いつまでも続けばいいと思っていたのだった。