はじまりの合図 1
私はいつも夢を見る。
遠い昔の幸せな夢。
あの頃に囚われたまま、私の時は止まっている。
もう、あの頃に戻れるはずがないのに。
「おいゆき。そろそろ時間だぞ。」
男は、運転しながらそう声をかける。
「…うん。わかった。」
「わかってると思うが、作戦通り上手くやれよ?」
「…うん。分かってるよ"お父さん"。」
「ふん、ならいいが。」
黒い車が、ネアポリスのメイン通りに止まる。
その車からゆきは降りる。
と、同時に車は発信していった。
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