群疑満腹 3
ブチャラティはざわざわと騒がしいリストランテの中でも、さらに一際目立つ席へと真っ直ぐ向かっていく。
「ちくしょーッ!!いつもいつも何でこの店は「4つ」しか用意してねェんだよッ!この俺に死ね!っつーのか!?」
バンッ!という机を勢いよく叩く音が聞こえたかと思えば、今度は若い男の叫び声が響く。
「あぎゃアアァーーーッ!!!!」
男の子は丸テーブルへと頭を押し付けられており、苦しそうに呻き声を上げていた。
あまりにも外で見たリストランテの外観とギャップがありすぎる店内の様子に、ゆきは顔を引き攣らせる。
「(… 見覚えのある人達。という事は、この騒がしいのが…)」
「てめーらッ!何やってんだーーッ!」
ブチャラティは男達に向かって、威圧感のある大きな声で呼びかけた。
すると先程までうるさい位に騒がしかった男達は、一気に大人しくなる。
「…昨日言っていたトラクティスさんの紹介で来た、ゆきを連れてきた。」
ブチャラティはゆきへと視線を寄越し、頷いた。
ゆきも頷き返し、ブチャラティの一歩前に出ると息を吸い込んだ。
「トラクティスさんの紹介で来ました、ゆきと申します。…みなさんどうぞよろしくお願いします。」
軽くペコりとお辞儀をし、起き上がった際に最高の笑顔を披露する。
「ちょっと、ブチャラティ。…本当にこんな可憐な少女が"あの"トラクティスさんの見込んだヤツなんですか…!?僕には信じられませんね。」
穴の空いたスーツを着用したフーゴがブチャラティへ話しかける。
しかし、ブチャラティとフーゴ以外のメンバーは息を呑んで冷や汗を流していた。
その様子に気付いた二人は首をかしげる。
「…どうした、お前ら何をそんなに驚いているんだ?」
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