初めましての再開 2



眩しく感じる日の光を浴びながら、ゆきは刑務所から出た。

そしてポルポが言っていた様に、ブチャラティはすぐそこにいた。


腕を組みながら、壁にもたれかかっている。

そんなブチャラティは、刑務所から出てきたゆきにはまだ気付いていない様だった。

ゆきは目を凝らしてブチャラティを見る。


ブチャラティと離れてから、おおよそ8年くらい経つだろうか。

身長は伸び、横顔ではあるものの昔と変わらず女を魅了する端正な顔つきはそのままに、立派な青年へと成長していた。


ブチャラティはもちろんゆきがギャングになっている事も知る筈もなく、きっとあの街から離れてからのゆきが何をしていたのかも、全く分からないだろう。


もしかしたら、ゆきの事なんてもう忘れているかもしれない。

それでも今のゆきは、構わなかった。


ーーー過去は過去なのだ。


そのままブチャラティを見つめたまま近づく。

そして、ゆきの気配に気付いたブチャラティは視線を向けた。


ばちりと混ざり合う視線。


ゆきの耳にはブチャラティの息を呑む音が聞こえた。


信じられない物でも見たかのように、ブチャラティの瞳は大きく見開らかれる。

そして、震える声で言葉を紡いだ。


「…ゆき。」


そしてそんな様子のブチャラティをゆきは、やけに冷静に見ていた。

また1歩とブチャラティへと近づき、手を伸ばせば触れる距離まで来て足を止める。


「初めましてよ、ブチャラティ。」

そしてゆきは、しっかりとブチャラティの目を見て告げた。


「なぜ…っ!君は、幸せな夫婦の元へと養子にいったんじゃあ…」

「ブチャラティ。ポルポさんから聞いているでしょ?私は今日から貴方のチームでお世話になるの。…ギャングに過去なんて、必要ないよ?」


ブチャラティは、はっとした様にゆきを見た。

「まさか、ゆきが…!トラクティスさんが寄越したっていうヤツなのか!?」

「そうよ。…ブチャラティ、先に言っておくね。私、もう過去は捨てたの。あなたと遊んでいた頃の私はもういない。だから、改めて言わせてもらう。」


右手をブチャラティへと差し出し、ゆきは言葉を続けた。


「初めまして、ブチャラティ。」

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