初めましての再開 1
それから更に2日経った頃。
ネアポリスにある、とある牢獄にゆきは来ていた。
"お父さん"によると、そこにいるパッショーネの幹部の1人でもある
ーーーポルポという男に会ってこい。との事だったからだ。
厳重に警備されているポルポの牢獄へと入る。
ボディチェックを受けた後、薄暗い通路を抜けるとガラス張りの部屋が見えた。
「ーーー…ここが、牢獄…?」
すると突然、ベットだと思っていたものが起きあがる。
ゆきは多少身構えたが、ソレがポルポだとすぐに理解すると、ガラス張りの部屋へと近づいて行った。
ポルポはその大きい身体を起こし、ゆきの方をゆっくりと見る。
「…初めまして、ポルポさん。」
ぺこりとお辞儀をするゆき。
「ブフゥ〜、君が"トラクティス"が言っていたゆき君かね???」
ポルポの言う"トラクティス"とはゆきが呼んでいる"お父さん"の事である。
トラクティスはポルポと同じくパッショーネの幹部の一人で、ありとあらゆる手段を使ってボスの信頼を掴み取った末に幹部へと昇格した事で知られていた。
「そうです。トラクティスさんには、お世話になっています…。」
「そうかね、君があのトラクティスが見込んだ子か…。」
ジロリとポルポの見定める様な視線がゆきに向けられる。
「あのトラクティスの頼みなら、喜んで受け入れるよ!…プフゥ〜。」
そう言いポルポは、冷蔵庫からワインを取り出し飲む。
「君も飲むかね???」
「いえ…結構です…。」
「ふむ…。そうか…。そうだった、君にはしばらくブチャラティの所で面倒を見てもらおうと思ってるんだ。」
"ブチャラティ"という言葉にピクリとゆきは反応する。
「ブチャラティの元で、パッショーネについて学ぶといい!…ブフゥ、この刑務所の外で君を待っているはずだからな。」
そういってポルポは再び冷蔵庫からリンゴを取り出し、齧り出す。
「ありがとうございます、ポルポさん。」
そう告げ、また一礼してポルポの前を去るゆき。
「ふむ…愛想のないガキだ。本当に、顔こそ似つかないがトラクティスによく似てる。ま、そんな事はどうでもいい…われわれの都合のいい様に利用できれば、な…。」
そうポルポは呟き、リンゴをまた1口齧った。
そしてゆきは外で待つ、ブチャラティの元へと歩き出す。
懐かしい、ブチャラティの元へと。
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