要人の死 2
「そうじゃのう…わしは…ッッ!!!!!」
喋っていたヘルシートが急に立ち止まり、黙り込む。
「おい、じいさん?」
不審に思ったナランチャは、ヘルシートの顔を覗き込む。
苦しそうに口を開け、まるで突然"体が動かなく"なった人の様に固まっている。
ミスタとアバッキオも異変に気づき、ヘルシートに近寄る。
「ど、どーしたんだ!じいさんッ!!!」
「ちっ、何が起きてるんだ…!!!!」
アバッキオは不審な人物がいないか周りを見渡す。
「おいおいおい…ッ!じいさんどうしちまったんだ…!!!?」
震えるミスタの声にアバッキオは振り返る。
そこには自らの持っていたのだろう拳銃を震える手で頭に向け、今にも引き金を引こうとしているヘルシートの姿があった。
ナランチャはヘルシートの手から銃を取り外そうと引っ張っている。
「離れろナランチャ!!!!」
そう言いミスタが銃を撃つのが早かったか、ヘルシートが引き金を引くのが早かったのか。
ーーーーーパァン!!!!!
乾いた銃声がネアポリスのメイン通りに響いた。
ヘルシートの頭から大量の血が吹き出す。
そして、ミスタの放った弾がヘルシートの握る拳銃をはじき飛ばした。
「ちっ!!!間に合わなかったッ!!!!」
「くそッ!!!…どいつだ!あのじいさんが自殺するはずがねぇんだ!!!!」
ミスタとアバッキオはヘルシートへと駆け寄る。
ヘルシートを抱えているナランチャは、ヘルシートから流れる血によって血まみれになっていた。
「きゃああぁぁぁぁーーーッ!!!」
「おい!人が倒れてるぞッ!!!」
「何今の?銃声…???」
通りがかりの人が騒ぎ出す。
「…おいっ、やべぇぞ。このままじゃあサツが来ちまう!!!!」
「ナランチャ!ミスタ!車まで走るぞッ!!!」
既に息絶えているヘルシートを、ナランチャとミスタで抱え車へと向かう。
「くそッ!なにが起きたんだってんだ…!」
ミスタは車のダッシュボードを叩く。
「俺にはヘルシートが自分で頭を撃ち抜いた様にしか見えなかったぜ…ッ!!!」
ナランチャも自らについた血をタオルで拭いながら言う。
「とにかく、ブチャラティに報告する。」
アバッキオは携帯を取り出し、ブチャラティへと連絡する。
3人は突然の出来事に頭がついていかず、ため息を零した。
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