要人の死 1



ナランチャの運転する車は、ネアポリスのメイン通りへ到着した。


近くに車を停め、4人は車を降り歩き出す。


「おいじいさん、あんま離れんじゃあねぇ。」


アバッキオは警戒し声をかける。


メイン通りの人の多さに、さすがのナランチャとミスタも気を引き締める。


そんな3人の顔色を見て、ヘルシートは笑う。

「ははは、大丈夫じゃよ。このメイン通りにはワシの雇っている君ら以外の護衛もおるんじゃ。」


「そ、そうなのか…???」


呆気に取られる3人。

抜け目のないじいさんだと感心していると…


ーーーーーチャリチャリチャリン!!!!


何事かと3人は音のする、後ろへと振り返る。


「な、なんだ…コインの音か…。」


ほっと、ナランチャは呟いた。


「おいおいおいッ!全くよォ、気をつけろよガキ!!!」


ミスタはコインを落とした女を見る。


アバッキオも女を睨みつけるように見つめている。


たくさん落ちているコインの1つが、転がっていく。


やけにミスタはそのコインに目を奪われる。


そのコインはヘルシートの足元へ導かれる様に転がり、やがて足にあたって止まった。


「ほれ、気をつけたまえよお嬢ちゃん。」


そういってコインをひろうヘルシート。


「わ…ありがとうございます!!!」


女は両手を出し、ヘルシートからコインを受け取る。


花が咲いたように、ふわりと微笑む女にミスタは視線を奪われる。

が、そのままコインを拾い上げ女はペコリと一礼するとあっという間に去っていった。


「ほっほっほっ、可愛いお嬢ちゃんじゃったの。」


ヘルシートはそのまま歩きだす。

ミスタ、アバッキオ、ナランチャは一歩遅れて後をついて行く。


「な、なぁじいさん!そろそろ目的地とか教えてくれてもいいんじゃあねェか!?」


ナランチャは待ちきれない、とでもいう様にヘルシートへと話しかける。


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