芥川


 いつもは眠いのをなんとか学校に登校して朝練に向かうんだけど今日だけはひと味違う俺だもんね。毎朝目覚まし時計なんかじゃ起きられねえから近所に住むがっくんが起こしにくるまで寝てんだけど今日は目覚まし時計にすら頼ることなく目が覚めた。もう目なんかぱっちり。なんてったって今日はテンションたけーから!
 鼻歌混じりに登校すれば同じく朝練に参加するテニス部のやつら(俺よりちっちえし見覚えねえから1年かな)が驚いた顔をしていた。そりゃそうだよなあ。こんなに元気いっぱい眠気なんてありません、という俺に面識が無いんだし。
「おっはよー!」
 部室の扉を開ければ待っていましたと正レギュラーの皆が駆け寄ってきた。
「毎年のことだがこんな風に毎日朝練に参加できねえのかよ」
「言うな跡部。むしろ今日この日が奇跡なんだ。お誕生日効果がすげえんだ」
「でもまあ跡部の言いたいことはわからなくもないけどなあ。ほんと毎朝起こしに行く俺の身を考えてくれよなあ…」
 跡部はうんざりとした顔でソファに座りこちらを眺めてくる。それを宍戸は苦笑い見ててがっくんはどっから出したのそのため息。と思うくらい長いため息をついた。
「まあええやんか。ジロー誕生日おめでとう、一生懸命選んだプレゼントやで」
「マジマジありがとー!中身何ー?」
「俺のオススメの恋愛小説やで」
「……ああ、うん」
「えっ!テンション低くない?そない嬉しくないんか!?」
「ばかだな侑士。ジローは少年漫画ばっか読んでんのにそれは選択ミスだろ。ほら、俺と宍戸で選んだ誕生日プレゼント」
 皆が続々とプレゼントを渡してくる。両手じゃ足りないくらいたくさんもらった。
「わー!わー!すっげえ大事にすんね!!!」
「流石にその荷物を持って行くのは大変だろうから俺がお前の家まで送ってやるぜ。それから今日は俺の家で誕生日パーティーだからな」
「マジで!?うっわすっげー楽しみだCー!!!」
 勢い余って跡部に抱きつく。跡部が一瞬固まったのが伝わるけど、優しく頭を撫でてもらった。なんだか嬉しくてじわりと涙が滲み出てしまった。















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ジロー誕生日おめでとう






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