宍跡
※義兄弟パロ
※年の差注意
高校へ進学すると同時に、父親が再婚をした。相手の方はびっくりするほどの綺麗な人で、どうやって結婚まで漕ぎ着けたんだ親父、と聞きたくなった。
俺は驚くほど美人な相手の方に呆気にとられて、こちらをじっと見つめる視線に気づかなかった。
「ほら景吾、挨拶して」
その言葉で女の人の影に隠れる少年に気がついた。ひょこりと顔を覗かせた景吾と呼ばれた少年も、彼女同様に綺麗だった。
「…こんにちは」
「ほら、あなたのお兄さんになるんだからいつまでも隠れてないの」
おずおずとこちらへ歩み寄る姿はまるで小動物のようで癒される。
「こんにちは、俺は亮って言うんだ。よろしくな、景吾」
にっと笑えばぎこちなく微笑み返す景吾はとても可愛らしかった。
あれから数年経った兄弟は、びっくりするほど仲睦まじく過ごしていた。
「亮兄、起きろ。早くしないと会社に遅刻するぜ」
「んー、わかったわかった」
「うわっ、布団の中に引っ張んなよ!俺これから卒業式なんだからな!」
あの可愛らしい、柔らかいしゃべり方ではなくなり、どこかがさつなしゃべり方になったのは俺の影響なのかとぼんやりとした思考回路で思う。
「わかってるよ」
布団に引っ張り込んだ景吾の耳に囁けば、はくはくと堪らなそうに口を開閉する我が弟にくすりと笑みがこぼれる。
「変態だ、変態!」
「そんな俺が好きなくせに」
「っ!意地悪兄貴、後で覚えてろよ」
顔を赤らめ布団から脱兎のごとく逃げて行く景吾の姿は可愛らしくて笑わずにはいられなかった。
いつの間にかずれてしまった兄弟愛。だが彼らはそれを正そうとしない。今が幸せだと断言できたからだ。
―――――――
よくわからないものになってしまった。