白跡♀


「けえちゃんやわらかーい」
「勝手に触んなっ」
 更衣室の中できゃいきゃいと騒ぐのは跡部と忍足である。二人はかなりの美人であり、そのため二人のやり取りをクラスメイト達は羨ましそうに眺めている。だがしかし、今にも殴りかかろうと殺気を醸し出している人物がその中にいた。ギリギリと歯軋りをしながら跡部にくっつく忍足をこれでもかと睨み付ける。もちろん忍足はこの視線に気づいている。気づいた上で煽るようなことをする忍足はなかなか性格が悪い。
「景」
 凛とした声がざわついた更衣室を一気に静寂に変えた。
「く、蔵…」
「何しとんの、景は私のもんやろ?」
 我ながら子どもじみた嫉妬だ。忍足にべたべたと触らせないでほしいだなんて。
 白石は跡部の腕を掴み更衣室から出る。ぐんぐんと腕を引っ張り向かう先は次の授業の場と反対方向であり、跡部は困惑する。
「どこ行くんだ…?」
「二人っきりになれるとこ。やって私以外にあんなり触らせて、消毒してお仕置きせなあかんやろ」
「で、でもあれは忍足が…!」
「でもやない。もっと抵抗できたやん。私全部見てたから言い訳は無しやで」
 嫉妬で頭に血が上り、声音は少し固くなっている白石にぶるりと跡部は震えた。怒ってる、ただそれだけが伝わる。
「ごめん、私がもっと嫌がれば良かった。ほんとにごめっ…」
 為すすべもなくただ謝る跡部だが、自分の意思とは勝手に涙が出てしまう。白石はぎょっとして慌てて涙を拭う。
「えっ、あ、泣かんで?こっちこそ堪忍な。醜い嫉妬してしもた。景を怖がらせる気はなかったんよ」
「わ、私には蔵だけだもん…。だから、そんな突き放すような態度、とるな…!」
 なんだこの可愛い生き物は。白石はぐらぐらと揺さぶられる理性をなんとか必死に繋ぎ止める。
「ほんまに、ごめん」
「………今日ずっと一緒にいてくれるなら許す」
 せっかく繋ぎ止めていたというのに。跡部の可愛すぎる発言に白石の理性は呆気なく崩れ去り、噛みつくようなキスをする。
「今日だけやのうて一生一緒にいたるわ。むしろ嫌でもいたる」
「…ばぁか」















―――――――
攻めが嫉妬するのが好き






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