丸井


 いつもと同じように起きるが今日は特別な日だ。なんてったって俺の誕生日だからだ。予想を裏切らず朝ごはんは俺の好きな料理だったし、お弁当はいつにもまして気合いが入っているように思える。
 登校中に携帯を確認すればクラスや部活の奴等から誕生日メールがあった。中にはなぜか芥川のもあって驚いた。なんで俺の誕生日知ってんだコイツ。メールを開けばきらきらしたデコレーションが真っ先に目につく。女子かよ。心の中でつっこみつつ読み進めていく。驚くことなかれ、後で誕生日ケーキをくれるそうだ。いい奴だ。しかも選んだのは跡部だそうで、これは期待大だ。跡部は性格はアレだが金持ちだし食べ物にはうるさそうだ。きっとおいしいものを選んだだろう。ああ楽しみ、なんて朝から幸せですオーラ垂れ流しで学校に到着した。
 いつもなら既に朝練が始まっているはずなのに今日は人っ子一人いなかった。もしかして今日は朝練なし?メールの受信ボックスを確認するがそんなメールはきていない。おかしいと思いつつ部室の扉を開ければパンパン!とクラッカーの音が鳴り響く。
「誕生日おめでとう」
 呆然とする俺をよそに幸村がどんどん話を始めていく。最初は幸村から花を、ジャッカルから前から欲しいと思ってた限定スイーツを、仁王と赤也からはブタのクッションを(この後赤也にげんこつしといた)、柳生からはお菓子のお供にと紅茶を、柳からは有名パティシエのレシピ本を、真田からはテニス用品を貰った。
「み、皆…」
「誕生日だからって食い過ぎて太らんようにのう」
「感動していたのをぶち壊すようなこと言うんじゃねーよぃ」
 むす、と顔をしかめるが仁王はけらけらと笑うだけだった。せっかく良い気分だったのに、とぶつぶつ言ってしまうのは仕方ないだろう。
「まあ今日だけは特別じゃからな」
 渡されたのはワンホールあるショートケーキ。誕生日おめでとうと書かれたチョコが飾り付けられている。いわゆる誕生日ケーキだ。
「丸井、思う存分食え。だが今日だけだからな!」
「あ、ありがとな!!」
 パクリと口に含んだケーキは今まで食べたケーキの中で一番だった。















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誕生日ネタ






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