氷帝


誕生日ネタ







 10月4日はイエスキリストの聖誕祭か何かかと疑うくらい氷帝学園中等部は賑わっていた。何よりこういった催し物をするのが大好きな跡部は自らの誕生日パーティーをプロデュースし(跡部さまを驚かせて喜んで貰おうという生徒達の甲斐甲斐しい努力は水の泡である)、これまた豪華なバイキングを用意したりマジックショーやらなんやらとお金をかけまくった。ちなみに教師陣はこのパーティーに対してはノーコメントだ。10月15日では人気の高いテニス部内でもかなりの人気を誇る忍足侑士の誕生日であり、これまた盛大なパーティーが開かれた。忍足は勿論最初こそ小さく祝ってくれればそれでいい、と言っていたのだが、跡部や向日が乗り気な姿を見てこれは止められないなと悟り、我関せずな姿勢をとった。結局当日は主役がいなくちゃなあ!と向日に連れられ全生徒が見守る中、壇上に一人立たされた時は些か困った様子であった。



「思ったんだけどさ、俺らの時ってこんな盛大にパーティーなんかしてなくね?大抵跡部ん家でレギュラー集めてパーティーするだけじゃん。なんか損した気いする」
「…岳人、あんなパーティー開かれてみいや。いたたまれへんで。それになんや跡部のパーティーのついでみたいなノリで微妙にもなるで」
「え、そうかー?侑士ってテニス部でもすげえ人気だからそんなことなかったと思うぜ」
「やからってあの、祝いようわな…」
 どこか遠くを見つめ、一息つく忍足はどこか達観したようである。
「いーじゃんお金かけてもらってさあ!跡部の愛の差を感じる!俺とお前で!!」
「…お前ら何変な話をしてんだよ。外まで聞こえてるぜ」
「お、亮!お前もそう思うよな」
「何がだよ、急に話振られてもわかんねえよ」
「だからさ、忍足と俺らの誕生日パーティーの規模が違いすぎるから愛の差を感じるって話」
「あー…」
 宍戸はさもどうでもいいという相槌を打ち、着替え始める。
「でも、そんなことないと思いますよ」
 そう発言したのは宍戸と一緒に来た鳳だ。えーっと文句を言う向日に対して、にこにこと笑顔で話す鳳は向日よりもずっと年上に見える。
「跡部さん、きちんと皆さん平等にしてますよ。部員が多いから一人一人祝えない分をああしてパーティーを開いてるんだと思います。多分経費は皆さん同額で切り盛りしてますよ」
「なんでそんなことわかんだよ」
「皆さんのプレゼントとか見ればわかることですよ。今回忍足さんのプレゼントだけオーダーメイド品じゃなかったですし」
 愛されてますね、僕ら。にこっと鳳が宍戸に言えば苦虫を潰したように顔を歪める。なかなかこんなに照れ隠しの下手な人もいない。
「まあでも、いっつもパーティーとか跡部に準備してもらってプレゼント用意するだけなんだし、あーだこーだぐちぐち言うのは男らしくねえよな」
「うー、まあ、そういうことにしとく」
 若干腑に落ちないような向日だが、鳳の和やかな雰囲気に毒気を抜かれ、これ以上ぐちぐち言う気は失せたみたいだ。
 ペチャクチャと話し込んで部長に起こられるまでそう時間はかからなかった。





















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