白跡


「謙也、今日は何の日やと思う?」
「4月14日。白石の誕生日やな」
「そう、俺の誕生日や!せやけどまだ跡部くんからプレゼントもろてへんのや。まだ付き合い始めて半年しか経っとらんし、ほんで遠距離恋愛やし、いろいろあるけどプレゼントくらい貰えるんとちゃう?が俺の持論なんやけど」
 はいきた果てしなくめんどくさい白石。コイツは普段は物わかりがよく我が侭もろくに言わない良い子なのだが跡部のことになるとその態度が一変し、一気にめんどくさくなるのだ。この間も侑士と電話していたとき跡部の話になったのだが、そのときに「なんやその呼び方可愛らしいな、景ちゃーん」なんて言ったがためにそれを白石に聞かれ、ねちねちねちねち文句を言われた。下の名前で呼んでええのは景吾の家族と俺だけや!とか俺かて景ちゃん呼びは嫌がられるんに謙也が呼んでええわけないやろとかめんどくさかった。いやもう流せや、心狭すぎやろ。そんなんやと跡部に嫌われるで?と精一杯説得してしぶしぶ許してもらえたのはつい最近の出来事である。
 俺は学んだ。こんな白石の対応では当たり障りなく受け答え、面倒事にならないようにするのが一番だということを。
「へえ、ほな跡部に電話でもしてそれとなく探りをいれたらええやん」
「そう思ったんやけど、俺から電話して跡部くんにプレゼントだけが欲しいのか、なんて思われてしもたらもうショックで生きてけへんもん。やから電話なんか出来ひんわ」
「せやけど相手は跡部やろ?跡部がそんくらいで白石のこと嫌いになるわけないって」
「せ、せやな!今から電話するわ!」
「おー頑張れ頑張れ」
「ほんまありがとおな謙也!」
 ニコニコしながら白石はスピードスターの俺顔負けの速さで教室を駆け抜けていった。きっと誰にも邪魔されないところに移動したんだろう。
 まあ白石が幸せそうで何よりや。巻き込まれるのは勘弁やけど。
 すっかり渡すタイミングを逃した白石へのプレゼントをぼんやりと眺める。食べ物ではないし後で渡せばいいだろう。きっと跡部みたいに喜ぶことはないだろうけど、嬉しさで顔が綻ぶ白石が容易に想像できて思わず笑みがこぼれた。















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謙也の白石に対する気持ちは友愛。
ところで白石×跡部ってどう表記すべきなのかな。白跡?蔵跡?しらべ?






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