助作と甚内 | ナノ 助作と甚内
会話のみ





「なぁ甚内。」
「ん?」
「二人きりでどこか遠くへ逃げてしまおうか。」


…。


「は?」
「仕事も家も身分も権力も志も何もかもぜーんぶ置いて、誰も知らないところへ行くのさ。誰もいない、景色の綺麗な場所。」
「…突然何だ?その冗談は。」
「おや、冗談だと思うのかい?」
「お前が本気ならそんな軽々しく口にしないからな。」
「あははっよくお分かりで。」

「…だが。」
「ん?」
「もし本当に逃げ出したくなったら、素直に言え。俺じゃなくても、誰にでもいい。逃げずとも問題の解決に手を貸せる人間はここには沢山いるからな。」
「…それでも逃げ出したくなったら?」
「そうだな…一緒に遠くに行ってやってもいい。」
「ふふっ頼もしいねぇ甚内。その時はよろしく。」


(そこまで追い詰められたときでさえ、お前が他人を頼れるか疑問だがな…。)



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冗談でこんなことを言うくせに、いざとなると律儀過ぎて逃げるという選択を選べない助作。
それを知っているから、いつか助作が壊れるんじゃないかと心配な甚内。

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