銀→雪華 | ナノ 銀→雪華





色艶の良い銀色の毛並みに、紅石を思わせる瞳。凛とした声で名前を呼ばれたとき、身の毛が弥立った。
あの時、これが恋というものかと悟ったものであった。
しかし…

『それで水影がだのぅ。この間なんか…』

こやつは主人である水影の元では水影に付きっきり。
居ないところでは口を開けば水影、水影、と主人の話しかしないとんだ主人馬鹿である。
過保護の親馬鹿並みと言っていいだろう。
実の子のように思っている、というのは分かる。私とて、咲哉のことを子供のように思っている。
が、ここまでではない。

『銀、聞いておるのか?』
『…聞いておる。』

ならよいのだが、と実に楽しそうに話の続きを始める。
雪華に対して漏れた私の溜め息は彼女に届くことなく空へ消えた。


(少しは私の気持ちに気づいてくれ…。)



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銀は叶うはずないと諦めて伝える気が無いのか、ただ単にヘタレなのか。
雪華は基本的に水影以外はout of 眼中。

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