成瀬と水影 | ナノ 成瀬と水影





ぷかり、と浮かぶ煙を目で追う。
ゆっくりと立ち上る白い煙は、ゆらゆらと揺れ、途切れることがない。上に向かうほど色が薄くなり、徐々に背景と同化して消える。
立ち上る煙が少なくなると、燃え糟となった吸殻を灰吹きである竹筒の中へと落とした。
「隊長。」
「なんだ、成瀬。」
吸殻が落ちきらなかったのか、煙管が竹筒を叩く軽い音が響く。
「煙草は身体に悪いから止めましょう!」
「これは煙草じゃなく、煙管だ。」
「え?あ、そうか。」
と一言、口を閉ざし、もう一度立ち上った煙をまた目で追った。


(いや、成瀬、煙管も煙草の一種だからな?)
(え?だっていっくん、隊長が煙草じゃないって言ってたよ?)
(…隊長もこうなるってわかってそういう返答しないで下さい。)



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成瀬君はぽやっとしていて、すぐ騙されるお馬鹿なよい子。
いっくんは吉川のことです。

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