休日のルポルタージュ 正則と嘉明 | ナノ 大学パロ
正則→体育学部
嘉明→建築学部










「おーわーらーなー…いっ!」



力尽きたように人体構造学の本に顔を埋めていた正則は、勢いよく顔を上げた。
資料と均等な線の引かれたレポート用紙を見比べ、クシャリと顔を歪める。
彼の片手に握られている愛用の0.5ミリシャープペンは、先程から一寸たりとも動いていない。
期末の試験がない代わり、課題として出されたレポートの評価は、ほぼ等号に成績へ反映される。
なので、逃げるわけにはいかない。

しかし、普段から頭を使うことが苦手な正則にとって、レポートなど苦痛以外の何ものでもなかった。
「あーもう!何でこんなレポートやらなきゃならんのじゃ!」



「正にぃ、五月蝿い。」



不平不満を口すると同時に、頭の上に鈍い音が響く。
嘉明の持ってきた分厚い本の背表紙が正則の頭にぶつかっていた。
「ーっ!!」
しかも、ぶつかったのは本の角、である。
声にならない声を発し、涙目ながらに嘉明を睨み付ける。
「おまっむぐぐ!」
怒鳴り付けようとした正則の口を持っていた本で塞ぐ。
「正にぃ…ここ、図書館。」
じっ…と睨むように見下ろす嘉明に何時もは感じない威圧感が。
嘉明だけではない。周囲の利用客も迷惑そうに此方を伺っていた。
嘉明の言葉に現在身に置かれた状況を理解したのか、正則はハッとし、すまん…と小さな声で謝った。
解ればよろしい、と言うように嘉明は息をつくと、正則の向かいの席に座った。



「何じゃ?それ。」
「『風土色と色彩学』と『現代和風インテリアデザイン』と『生活空間における色彩学』。」
見せて、と手を出せばその内の一冊を渡され中身を流し見る。
「ふーん…よう分からんが、なんか清正の読む本とは違うんじゃな。」
清正も嘉明と同じく建築学を学んでいる。
ただし、清正は建築構造を、嘉明はデザインを中心に学んでいるため、内容は比較的異なる部分が多い。
「建築学も色々だから。」
体育学が体動かすだけじゃないみたいにね、と正則の前にある白紙のレポートをボールペンの頭で叩く。
「必修じゃなきゃとらんわ、こんなもん。」
また顔を歪めるが、いつまでも駄々をこねるわけにはいかない。


清正がいれば多少は手伝ってくれるかもしれないのに、と無二の親友へと思いを馳せる。
が、生憎彼は剣道部の遠征中であり、新幹線で2時間という遠い地へ。
連休中はこの地へは戻らず、連休最終日に帰宅することになっている。
そんな多忙の親友に、連休明け提出と言われたレポートを手伝え、とはさすがの正則も口に出せなかった。


ひょっこり顔を出した嘉明を捕まえたものの、マイペースな彼が手伝ってくれるわけもない。
溜め息を一つつき、正則は文字情報の集合体との格闘を再開したのであった。



「あーもう!無理!」
「正にぃ、だから五月蝿いってば。」



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休日のルポルタージュ
体育学部と建築学部という設定ですが、私は文学部なので授業内容などは知りません。

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