エピローグ後のバットエンド 荒井と風間 | ナノ 流血表現有
殺人クラブ設定










やぁ誰か倒れている、今日のゲームはもう終わりかな、と思って近づいてみたらなんとまぁ、荒井君じゃないか。
近づいてみると、彼の体は上半身と下半身がほぼ真っ二つになっていた。切れ目からは腸が零れ、鮮やかなピンク色をしたそれはぴくぴくと痙攣している。
ゴポゴポと音を立て、とめどなく血が流れ出している。月明かりに照らされた青白い肌に、その赤色は良く映えた。
じっと観察していると、ひゅーひゅーと、か細い息遣いが聞こえた。

「あぁ、まだ生きてたんだ。」

声に出すと、彼はピクリと手を動かし反応を示した。目は虚ろで、此方を見ていない。
もう死の間際で、眼なんか見えてないのかもしれない。
「か、ざま…さん、ですか…。」
最悪だ、と呟く彼に眉をひそめる。ホント、死ぬときまで生意気な後輩だねぇ。
「何が最悪なんだい。むしろ、死ぬ間際にこの風間さんに会えたんだ。ラッキーだと思わないかい?」
返事は無いが、彼の眉間に皺が寄った。失礼な奴だね。いつもだったら食いついて来る彼だが、もう返事をする体力も無いのかもしれない。

「兎だからって油断するからこんなことになるんだよ。全く、君も馬鹿だなぁ。」
そうせせら笑ってやった。今回の獲物は明らかに弱者だ。
が、窮鼠猫を噛む、とも言うからね。どうせ油断して返り討ちにでもあったのだろう。
馬鹿だなぁ。
貴方に言われたくないです、とか何とか、また生意気な態度で噛みついてくるんだろうという予想に反し、彼は薄笑いを浮かべた。
その笑みは、お世辞にも明るいと言えない顔に、血の気の引いた青白さが足され不気味さが倍増し、少しゾッとした。
「うさぎ…ね。あれ、は、うさぎ…な…かじゃ…な、です…よ。」


兎の皮を被った、狼だと。


ゴボッと時々吐血しながら言葉を紡ぐ。あれは此方側の人間。もっと早く気づいていれば、面白いことになったかもしれないのに、と。
自分が死にそうだというのに、とても興味深い物を見つけたとでも言うように彼は終始笑っていた。変な奴。
まぁ、狂っているのはこのクラブの連中全員に言えた事だから、今更気にすることでもないけどね。

しかし、あの兎が此方側の人間?
毒薬を飲んだ時のあの青ざめた顔、震えながら此方の言うとおりに従うだけ、アンプルを探せと囃し立てた時の泣きそうな顔。いつもの連中と変わらない。むしろ一層脅えた様子だった兎が此方側の人間?
俄かに信じられない話だ。


「かざま、さん…あなたも…ぼくのよ、に…なりま…よ…。」
貴方、馬鹿ですから、と最後に付け足された暴言。そして、笑みを一層深めた。
あぁ、ホント君ってやつはイライラするね。この風間さんにそんな口を聞くなんて、万死に値するんだよ?あ、そうか。もう死ぬんだっけ。あはは。
「ふーん、そう。忠告ありがとう。」
お座なりに返事を返し、鼻で笑ってやった。
立ち上がり、彼に背を向ける。
さて、兎狩りに戻ろうか。無駄な時間を食ってしまった。
さーてどこに行こうかな。適当に校舎を回ってみようか。


そんなことを考えた次の瞬間、頭の側面に凄まじい衝撃が走り、眼を見開く。一瞬体が宙に浮き、地面に倒れた。
ぐらぐらと揺れる頭と、段々と暗闇に落ちていく視界。
衝撃の元へ目を向けると、獲物であるはずの人間が、ニタニタと狂気に満ちた笑みと、園芸部の所持品であるスコップを携えていた。
あぁ、本当だ。獲物は兎ではなかった。
今日ばかりは、君の言う事をちゃんと聞けばよかったかもしれないなんて、柄にもないことを思った。


「ほらね、あなたは、やっぱりばかだ。」

意識が飛ぶ前に聞こえた彼の声は、やけにはっきり聞こえた気がした。



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エピローグ後のバットエンド

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