誓い 清正 | ナノ 関ヶ原での激戦が僅か1日も経たず終結し、三成が死んだ。
物事を合理的にしかこなせず、夢想家で、石頭の平懐者。
自分とは合わない人間だった。


太閤殿下が亡くなってからというもの、残念ながら天下の情勢は家康へと傾いていた。
俺は、もはや家康に天下を渡した方が豊臣家の安全を測れる。そう考えた。
しかし、三成はそれが理解できなかったのだろう。
もはや天下は豊臣家のもの。約束など何の意味もないこの時代で、太閤殿下の申されたこと、全てを守ろうと躍起になっている。
その姿はまるで、崩れかけた砂の城を必死に直そうとする子供である。
己の振る舞いで、その城が直るどころか崩していることに気づかずに。

三成の気持ちも解らないではなかった。
俺とて、渡さずに済むなら家康に天下を譲ろうなどと思わない。
俺にしろ、三成にしろ、どちらも最も望んだことは、恩師である太閤殿下の御家、豊臣家の安泰。
思いはきっと同じであったはずだ。
ただ、俺は太閤殿下の宝と言える秀頼様の安全、御家安泰のみを目指した。
三成は、太閤殿下の築き上げた全てを守りたかった。
たったそれだけの違いである。それが、大きな道の違いとなってしまった。
その結果が、この戦であり、生と死の分かれ目だったのかもしれない。


(思いは同じ…だからこそ、散った彼らの魂を無駄には出来ないのだ。)

彼らと違い、自分は死ぬことなく、今、この世に存在している。
片桐殿の弁明により、この度のことは御咎めは無かったが、家康も大人しく豊臣家を見ているはずもない。
無念の思いで散った彼らの為にも、これから来るであろう数々受難から、豊臣家を守らなければならない。
それは、今生きている自分たちにしか出来ないことであるから。

「殿、大阪より至急登城いたせとのお達しでございます。」
「うむ、急ぎ支度をせよ。」

彼らの為、秀頼様の為、亡き太閤殿下の為。
たとえ独りになろうとも、この命に変えてでも。


(守ってみせる!)



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誓い 2010関ヶ原シリーズ

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