プライズ★チャンス 子飼 | ナノ 「佐吉!てめぇまた叔父貴に余計なこと言いおったな!」
「余計な事ではない。貴様が犯した過ちを報告したまでだ。」
「それが余計だって言っとるんじゃ!」

稽古を終えて戻る途中、言い争う声を聞いた。声からして佐吉と市松だろう。この二人の喧嘩は、仲介が入らないと収まらない。
市松をなだめることで、一番穏便に喧嘩を終わらせられるのは虎之助である。
が、生憎、虎之助に先程一緒にしていた稽古の片付けを任せてきてしまったのであった。
仕方ない、と二人の元へ足を運ぼうとすると、急に後ろへ引き寄せられた。

「まぁまぁ甚内、ちょっと待った。」
「助作か。」

丁度彼らから見えない位置へと引っ張りこんだのは片桐且元こと、助作だった。
まぁ、見えない位置と言っても、喧嘩に夢中な彼らに既に周りは見えていないだろうが。
「彼らの様子をここで見て、一つ賭けをしないか?」
「賭け?」
いきなりの事に顔をしかめた俺を無視し、助作は選択肢を提示してきた。


1.お寧々様がお説教に来る
2.紀之介が鉄拳制裁に来る
3.助右衛門がお使いから丁度良く帰って来てお説教


「さぁ、どれにする?」
「どれも悲惨な結果だな、おい。」

俺の抗議を無視し、景品は最近出来た城下の茶菓子屋で人気の草餅、ちなみに3番が大穴だと言う助作に呆れ、なんだかもう止める気も失せてしまった。
「じゃあ2。」
「2は私が選んだから無しだ。」
じゃあ最初からそう言えよ。
「…なら、1。」
普通に考えて、その選択が一番無難で、3が大穴と言われた上で選ぶ気はしなかった。


「じゃあ僕3。」


突然下から声が。
驚いて足元をみると、俺の足の間から顔を出し、廊下に寝そべっている孫六がいた。
「孫六。大穴で参加するのかい?」
孫六の謎の行動はいつもの事なので助作は気にしていないようだが、俺は吃驚するから止めて欲しい。
「さて、言い争いの声も大きくなってきたし、どうなることやら…。」



―…



「やれやれ、あの二人は全く仕方の無いやつらだな…。」
使いから帰って秀吉様に報告を、と思って足を急がせると何やら言い争いの声が聞こえる。そちらへ行くと、佐吉と市松が大喧嘩していた。
止めに入り、訳を聞くといつも通りの理由だった為、二人にはキツイ灸を据えてやった。
使いの報告ついでに秀吉様に話すと、秀吉様は大笑いしていた。全く、他人事だと思って…。

「…おや、孫六。今日のおやつかい?」
部屋に戻ると、そこには草餅を頬張っている孫六がいた。
孫六は横に首を振り、戦利品、とどこか誇らしげな顔をしている。しかし、その口元には餡子を付けているから思わず口元が緩む。
口のお弁当を取ってやると、孫六は残りの草餅を此方に向けてきた。
「助にぃのおかげだから、あげる。」
私のおかげ、と言うのが何なのか分からない。
しかし、くれると言うのだから素直に礼を言おうとしたら、餡子たっぷりの草餅を口に突っ込まれた。



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プライズ★チャンス
今見ると助作と甚内の性格が逆だこれ。

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